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千葉を車いす競技の拠点に  2020年の先に理想社会へ  熊谷俊人・千葉市長インタビュー

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熊谷俊人市長
熊谷俊人市長

 この秋、来年のリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を争う車いすバス ケットボールと車いすラグビーのアジア・オセアニア予選が、相次いで開かれた。 会場はいずれも千葉市の千葉ポートアリーナ。障害者スポーツと健常者スポーツ の混合を目指す千葉市が支援を買って出た。熊谷俊人市長(37)に、理念実現へ 向けたこれまでの道のりと展望を聞いた。

 Q=幕張メッセで2020年東京オリンピックのレスリング、フェンシング、 テコンドーの3競技が行われる。千葉市としてどう取り組む。

 A=オリンピックは大事ですが、千葉市はよりパラリンピックに力を注いでい きたい。私たちの視点は20年以降のあるべき社会の姿にあります。オリンピッ クを契機に新都心(幕張)を含め千葉市に国内外から多くの人が集まる都市にし たい。一方、パラリンピックに関しては、障害者スポーツに対する理解が日本も 千葉市もまだ不十分です。ここを徹底して取り組んでいきたい。
 私たちは、20年の東京オリンピック開催決定(13年9月)前から、千葉市 を障害者スポーツ、特に車いす競技のメッカにしようと取り組んできた。いくつ か思想があって、一番目は障害者に対するインフラ整備という意味で重要である。 二番目に、障害者と健常者が混ざり合ってスポーツを楽しむ社会をつくり上げる。 三番目が、オーエックスエンジニアリング(競技用車椅子製造)や千葉ホークス (車いすバスケットボールのチーム)を都市の資源として市民に知ってもらう。 この三つの理屈は都市戦略としても重要です。
 東京オリンピックに向け万全の準備をして成功させるのは当然ですが、20年 が最高潮で、その後維持できないものをつくってもしようがない。都市として2 0年以降もやるべきものをつくっていく。議会や市民の理解も得られます。

 Q=パラリンピックの会場誘致は。

 A=会場誘致に特に力を入れるという考えではない。それは一過性で終わって しまう。車いす競技の会場を誘致できれば理想的ですが、車いすバスケットの日 本代表選手が何かしら千葉市に縁があるというのがいい。そのためには市内の企 業には選手を積極的に雇用してもらい、市民にも普段から競技を観戦して、楽し み方が分かっているという状態で20年を迎えてほしい。
 これは一般論ですが、日本人はドラマがないと競技を見に行かない。今回、リ オデジャネイロの予選を開催しましたが、こういう大会を見てほしいと思います。 パラリンピックじゃなくても、その競技を楽しみに思える市民を増やしたい。
 大会前には選手が学校訪問をして、選手とのふれあいを図った。子どもたちに、 障害者というよりアスリートだと感じてほしかった。予選には多くの子どもたち が応援に来てくれた。これを続けていくことが大切だ。

 Q=理念と同時に財政的な裏付けが必要では。

 A=そこの見極めは大事だ。バスケットに関して、市は1500万円の協賛金 を出し、そのほか諸々の協力をした。しかし、予選には多くのメディアが訪れ、 盛んに報道してくれた。NHKのBS放送で中継もされた。これだけPRしてい ただければ、十分に元が取れている。20年くらい掛けてやろうとしたことが、 わずか5年くらいで流れができた。私からすれば、安く、理想社会への実現へ近 づいたのですから、ここは投資のポイントだと思います。やはりオリンピック、 パラリンピックの求心力はすごいと言えます。

 Q=予選を通じ、市民の障害者スポーツへの理解も深まったと言える。

 A=理想社会の実現は長いスパンで考えなければならないが、千葉市は議会が 理解している。この点は、私が2期目(13年5月)に入る前から理解されてい て、今や千葉市の「色」といってもいいでしょう。
 障害者スポーツはマイナスのイメージを持たれがちですが、車椅子が介在する ことで競技として一段、深まっています。だから、多くの人に一度は競技を見て ほしいとお願いしてきました。今回、リオの予選を観戦して私の言っている意味 が分かったという人が大勢いました。

 Q=20年パラリンピック会場やキャンプ地として千葉市の優位性は。

 A=千葉ポートアリーナは約1500万円かけて床材を張り替えた。車椅子競 技を実施すると床が傷むという声が多い。アリーナと同じ敷地内にホテルがあり、 利便性も高い。車椅子競技に関しては千葉市が拠点になる可能性があります。あ と数か月で20年パラリンピックの会場も決定しますが、そうなると千葉市がし なければならないことも見えてきます。注目されるようなチームが合宿に来てく れるようになればいいのですが。