CULTURE

聴覚障害を乗り越えて 熱気球「まもるくん号」のパイロットになりたい!

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OLYMPUS DIGITAL CAMERA 大空に優雅に浮かぶ熱気球は、実際に見た者をとりこにしてしまうような魅力があり、年々ファンを増やしている。ご存じの方も多いと思うが、日本の熱気球のメッカといえば佐賀。1989年から毎年開催されている「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は、アジア地区最大にして世界トップクラスの熱気球大会で、会期中には全国から延べ約80万人が集まる大イベントだ。今年も「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ/FAI熱気球世界選手権プレ大会」として、10月28日~11月4日に開催されたが、そこでちょっといい話を耳にした。

宮本⑤ 大会には、共栄火災海上保険の熱気球「まもるくん」号3機が出場を果たしたが、同社が運営を委託する熱気球チーム「ビーバーバルーンクラブ」(佐賀市)には、聴覚障害(聾唖)を抱えながら、熱気球のパイロットを目指す青年がいる。その人は宮本泰弘(みやもと・やすひろ)さん、31歳。

 5歳ごろから親に連れられて、毎年、「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」を訪れていた宮本さんは、歳を重ねるにつれ、自分も熱気球に触れてみたいと思うように。そして、パイロットとして自由に空を飛び、できることなら大会にも参加したいと夢を描いていたという。

バルーン③ 大会には100機以上の気球が空を飛ぶが、宮本さんは、機体のデザインでどこの気球か分かるほど、気球への強い憧れを持っている。耳が聞こえないため、自分の夢をあきらめかけていた宮本さんだったが、思い切って日本気球連盟に相談すると、連盟は宮本さんの夢をぜひ叶えてあげたいと、なんと宮本さんの登録を承認してくれたという。

 地元、佐賀の「ビーバーバルーンクラブ」が、障害者や養護施設の子どもたちを熱気球に乗せる活動をしていることを知った宮本さんは、このクラブに入ってライセンス取得を目指すことに。

 そして今年2月、宮本さんはクラブの鶴崎会長の操縦で初めて熱気球「まもるくん号」に乗り、大空を飛んだのだ!

 そのときの感想を、宮本さんは「地元(佐賀)で初フライトできて大変嬉しかったし、とても気持ちがよかったです」と述べ、パイロットとして「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」に出場する夢の第一歩を踏み出した喜びを語っている。

宮本① だが、聴覚障害者のパイロット・ライセンス取得は国内に例がない。数々の問題があるからだ。例えば、気球を上げるためにガスバーナーを焚くが、バーナーを焚く音が聞こえない分、熱気や視覚でカバーする必要がある。また、地上との連絡は、通常、無線機を使うが、無線機が使えないハンデがある(同乗者がフォローするしかない)。また、手話ができるメンバーが少ないので、パイロット指導もLINEかスマホによる筆談だ。ただ、宮本さんは、口の動きなどである程度相手の言葉は理解できるという。

 夢の実現には、まだ時間がかかるかもしれないが、宮本さんは、「数え切れない困難があると思います。それでも諦めず、パイロットになるまで、どんな困難も乗り越える努力が必要と考えています」と語る。そして、共栄火災の熱気球「まもるくん号」のパイロットになることを目指して、宮本さんは、日々、クラブの練習に熱心に参加しているという。

 頑張れ、宮本さん!