まめ学

知ってた? 次亜塩素酸水の新型コロナへの有効性は「未確認」 各種機関も空間への噴霧は「推奨せず」

 新型コロナウイルスの消毒用途として、「次亜塩素酸水を使っています」とうたっている店舗などを見かける。ところが、この次亜塩素酸水について、文部科学省は6月4日、子どもがいる空間では噴霧しないよう全国の教育委員会などに通知した。入手しにくさが続いている消毒用アルコールの代用品として市販品も多く出ているが、実は有効性は「未確認」で、似た名前の物質を成分とした漂白剤を間違えて使えば健康被害の恐れもあるのだ。新型コロナでにわかにクローズアップされた次亜塩素酸水についてまとめてみた。

★食品添加物ではあるが、残留はNG

 次亜塩素酸水は塩酸または食塩水を電気分解して作る水溶液。国内では2002年に食品添加物(殺菌料)に指定され、食材、器具の洗浄消毒や手洗いに用いられる。ただ、規格基準では「最終食品の完成前に除去しなければならない」として、十分に水洗いをするなどして残留しないよう定められている。酸と混ぜると有毒の塩素ガスが発生する恐れがあり、通気性の良い場所での保管が求められる。他の注意点は、①有機物の汚れがあると殺菌効果が失われるので事前に汚れを落とす、②有効成分が減りやすいため早く使う、③紫外線によって分解されるため遮光性容器か暗所で保管する――など。

★検証試験で殺菌効果は確認済みだが、新型コロナは未確認

 サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O157、インフルエンザウイルスなどへの殺菌・不活化効果は確認されている。新型コロナウイルスへの効果に関しては、経済産業省の有識者委員会が検討しており、5月28日の第4回委員会では国立感染症研究所と北里大での検証試験の中間結果が報告された。感染研の試験では一定の効果を示すデータが出たが、北里大の試験ではウイルス不活化効果は認められなかったという。このため経産省と独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は5月29日に発表したファクトシートやHPで「現時点では有効性は確認されていない」「全体として有効性評価を行う上で十分なデータが集まっていないため、引き続き検証試験を実施する」としている。

★空間への噴霧は「推奨されず」

 ファクトシートは、販売状況を確認できた81品目のうち66品目が「次亜塩素酸水を加湿器に入れて噴霧することで“空間除菌”できる」とうたっており、医療機関や飲食店で導入している事例がある、として、消毒剤の噴霧に関する各種機関の見解を紹介している。

 米疾病対策センター(CDC)は2008年のガイドラインで「消毒剤噴霧は空気や表面の除染のためには不十分な方法であり、日常的な患者ケア区域の一般感染管理には推奨されない」としている。中国国家衛生健康委員会は新型コロナ発生後の今年2月18日「人がいる状態で空間・空気に対して消毒を行うべきではない」とガイドラインに規定、世界保健機関(WHO)は5月15日に「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。肉体的にも精神的にも有害である可能性がある」との見解を発表した。

 こうした動きもあり文部科学省は6月4日、次亜塩素酸水の噴霧器の使用について「有効性および安全性は明確になっているとは言えず、学校には健康面においてさまざまな配慮を要する児童生徒等がいることから、児童生徒等がいる空間で使用しないでください」とする通知を全国の教育委員会などに出した。経産省はHPで「空間噴霧は今回の有効性評価の対象ではない。メーカーの情報やファクトシートを良く吟味し判断を」と、判断を消費者に委ねている。

★名前が似ている「次亜塩素酸ナトリウム」は別物

 次亜塩素酸水とは別物なのに混同されやすいのが「次亜塩素酸ナトリウム」。「ハイター」「ブリーチ」など塩素系漂白剤の成分であり、新型コロナ対策として厚労省と経産省は「0.05%に薄めてふくと消毒できる」として食器、手すり、ドアノブなどの消毒には「アルコールより有効」と推奨している(セ氏80度の熱水に10分さらすことも推奨している)。手荒れしないよう手袋をしたり、換気をしたりと、使用上の注意を良く読んで使うようにしたい。ただし噴霧は「絶対に行わないで」(独立行政法人国民生活センター)。

★除菌・消毒用の商品は、表示をよく確認して使用

 次亜塩素酸水の商品についてファクトシートでは、安全性や有効性、使用上の注意などの表記の不備が多いことを指摘している。安全性については「安全性をうたっているにもかかわらず、根拠が不明のものが多い」。有効性も「根拠が明確でないものが多い」「有効試験を行っている場合でも評価法を用いていないものがあるほか、試験期間、結果などが明記されていない場合がある」。不十分さだけでなく、薬機法に基づく承認を得ていないのに人体への効果をうたうなど、法令違反の恐れと言えるケースも挙げている。

 国民生活センターはHPで「消費者へのアドバイス」として「除菌や消毒をうたうような商品を購入する際や使用する際は、成分は何か、使用してもよい場所はどこか、希釈して使用する商品なのか等、広告や表示をよく確認してから使用するようにしましょう」と注意喚起している。