まめ学

【この人に聞く!】 発酵の可能性を追求する「ファーメンステーション」代表・酒井里奈さん(Part1)

ファーメンステーションの代表・酒井里奈さん。手前は同社の商品。
ファーメンステーションの代表・酒井里奈さん。手前は同社の商品。

 ここ数年、美容業界で環境や動物保護などにも配慮する「クリーンビューティー」(Clean Beauty)という考え方が広がってきている。オーガニック、ナチュラルといった要素は消費者にダイレクトに訴える強さがあるが、私たちは果たして自分の肌に優しいという観点だけで商品を選び続けていいのだろうか? フェアトレードは国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の一つであるが、待ったなしの地球環境問題に日々向き合うには、環境にも優しい商品を意識的に選択すべきなのではないだろうか?

 今回は、そんなクリーンビューティーを実践する、画期的な取り組みを行っている人物を紹介する。「Fermenstation(ファーメンステーション」(東京)は、活用されていない田んぼ(休耕田)を利用して栽培した有機米からエタノール(アルコール)を製造している、研究開発型の 企業だ。これを国産100%のエタノールとして原料販売しているほか、そのエタノールを使ったアロマスプレー、ハンドスプレーを発売。さらに、エタノールの製造過程で発生する発酵粕(かす)を原料に使った石けんなどのラインアップがある。発酵粕は、お米を栽培している岩手県奥州市の地元で鶏や牛のエサにも活用し、その鶏や牛の糞(ふん)は畑・田んぼの肥料にすることでゴミを排出しない製造サイクルを作り上げている。このような取り組みは、現在のコロナ禍で注目されているサーキュラーエコノミー(Circular Economy、廃棄物を出さずに資源を循環させる経済)の考え方にも合致している。そして、このファーメンステーションの代表を務めるのが、東京出身の酒井里奈(さかい・りな)さんだ。

岩手県奥州市で。真ん中でピースをしているのが酒井さん。左はお米を栽培する農事組合法人「アグリ笹森」の組合員。
岩手県奥州市で。真ん中でピースをしているのが酒井さん。左はお米を栽培する農事組合法人「アグリ笹森」の組合員。

 東京農業大学で醸造科学を専攻した酒井さんだが、もともとは国際基督教大学(ICU)で国際経済学を勉強した文系だ。ICU卒業後は大手銀行に就職し、融資業務などを担当した。現在の仕事へとつながるきっかけとなったのは、出向先である独立行政法人「国際交流基金(The Japan Foundation)」でNGO・NPO相手の仕事をしたとき。環境問題を解決する一つの方法として代替燃料の概念を知り、興味を持つようになる。その後、ベンチャーや証券会社に転職したが、生ゴミをバイオ燃料として活用したい、そのためにはバイオ(生物)の基礎から学ぶ必要がある!と考え、東京農大への入学を決意する。そして東京農大在学中に、お米からエタノールを作ろうと奮闘していた奥州市と出会う。

 Part2では、ファーメンステーションの取り組みをより詳しく紹介する

Miyuki O.