まめ学

【この人に聞く!】3Rを含む7Rの実践を 「エシカル協会」の代表・末吉里花さん(3)

エシカル協会代表の末吉里花さん。©一般社団法人エシカル協会
エシカル協会代表の末吉里花さん。©一般社団法人エシカル協会

 Part1と2に続き、一般社団法人「エシカル協会」(東京)が推進する、人・社会・地球環境に配慮した“エシカル消費”について紹介する。

■物事の影響を考える

 エシカル協会が掲げるスローガンは、「エいきょうを シっかりとカんがえル」(影響をしっかりと考える)だ。
 その商品を作っている人はどんな人か。家計のために子供が労働せざるを得ない状況になっていないか。その作物が生産されている地域の自然環境に悪影響はないかなど、商品の見えない“裏側”にまで想像力を働かせることが大切だという。

 代表の末吉里花(すえよし・りか)さんは、「エシカル消費にたくさんお金を使ってください、と言っている訳ではない」と指摘する。自分たちの行動や消費が、環境・人・社会にどのような影響を与えているかを考え続けることがエシカル消費の基本だという。とはいっても、具体的に何をすればいいのか分からないという人もいるだろう。そこで、末吉さんに実践しやすいエシカル消費を教えてもらった。

 例えば、1)コーヒーを毎日飲む人なら、そのコーヒーをフェアトレードのものに切り替える、2)ファッションに興味がある人は、オーガニックコットンやリサイクル素材でできた洋服を選ぶ、3)チョコレートが好物という人は、買うチョコをフェアトレードのものにする――といった具合だ。

 「いつもの習慣の中にあるものから取り組むのが一番やりやすい。エシカルには必ずそれにまつわるストーリーがある。エシカル商品を購入するということは、その物語も一緒に買うということになるので愛着がわくはず。エシカル商品は高いという人もいるが、愛着を持って大切に使えば、長い目で見れば節約にもつながる」と末吉さんは強調する。

■3Rを含む7Rを

 エシカルな行動は、商品を購入すること以外でも実践できる。その参考になるのが、エシカル協会が推奨する七つの「R」だ。リデュース・リユース・リサイクルの3Rはよく聞くが、7Rとは以下の行動や考え方を指す。

・Rethink―「自分の暮らしを見つめ直す・考え直すこと」。どのようなゴミを日々出しているか、何にお金を使っているか、買っている商品はどのようにして作られているかなど、自分の生活を振り返らないと改善点は見つからない。

・Refuse―「断ること」。例えば、レストランでプラスチックストローを断る、過剰な包装を断るなど。その際、断る理由も添えると、他者の気付きにつながる可能性がある。

・Reduce―「減らすこと」。エシカルな商品だからといって、大量生産&大量消費を行っていては元も子もない。リサイクルにもCO2(二酸化炭素)は使うので、全体の使用量を減らすことが大事だ。

・Repair―「修理しながら長く使うこと」。ヨーロッパでは、リサイクルよりもrepairability(修理できること)にシフトしてきているという。

・Reuse―「もう一度使うこと」。

・Repurpose―「アップサイクルすること。」ある商品の目的を変え、付加価値を与えて再び使えるようにすること。

・Recycle―「リサイクルすること」。

飲料缶のプルタブをアップサイクルしたポーチ(末吉さん私物)。
飲料缶のプルタブをアップサイクルしたポーチ(末吉さん私物)。

■消費者としての声を発信する

 今年の7月から、スーパーなどでのレジ袋が原則有料化されたが、有料化前はもらえるからと、袋を何気なく受け取っていた人もいただろう。有料・無料にかかわらず、本当に必要なものであるか、すぐにゴミとなってしまわないかを考え、時には断ることで、資源の総使用量を減らしていくことが大切だ。そして一度購入したものは、修理・修復しながら長く使えば出すゴミの量も減る。生活の中で一度、この7Rを当てはめてみてはいかがだろうか?

 そしてもう一つ、末吉さんが多くの人に呼び掛けていることがある。それは、私たち消費者としての声を店舗や企業に届けるということだ。企業に対するクレームではなく、ポジティブな意見として、例えば「フェアトレードの〇〇商品を置いてほしい」などと。認証ラベルを取得した商品を多く扱っている流通大手のイオンも、きっかけは一人の主婦の声だったという。末吉さんは、「企業は消費者がほしいと思うものしか作らない。自分の声を届けることは生活者としてできる一番有効な手段で、企業の後押しにもなる」と話す。

 もっとエシカルについて勉強したいという人は、エシカル・コンシェルジュ講座を単発で受講することもできる。現在開催している秋講座(全11回)の2021年1月以降の予定は、第9回「自律分散型社会の実践者~土・野菜・人を巡る循環の仕組み」、第10回「脱成長が切り開く、本当にエシカルな社会」など。受講料は1回5,500円(税込み)。詳細は同協会のHPから

■仲間とともに楽しみながら

 社会や環境に配慮するというとハードルが上がるかもしれないが、難しく考えることはない。末吉さんは、「生活のすべてをエシカルにすることは大変。私自身も100%はできていない。だから、できるところから行動に移すことが大事。エシカルそのものが説教くさい話なのでなかなかとっつきにくいかもしれないが、長く続けるコツは無理せず楽しみながら実践すること。そして、同じ気持ちを共有できる仲間を作ること」とアドバイスする。

ネパールのフェアトレード生産者団体で(右から2人目が末吉さん)。©一般社団法人エシカル協会
ネパールのフェアトレード生産者団体で(右から2人目が末吉さん)。©一般社団法人エシカル協会

 実践できるエシカルは私たちの生活のさまざまなところに存在する。今日から少し、エシカルを日常に取り入れてみてはいかが?

by Miyuki O.

□Profile

末吉里花(すえよし・りか)

エシカル協会代表理事
日本ユネスコ国内委員会広報大使

 慶應義塾大学総合政策学部卒業。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。2021年から使用される中学1年生の国語の教科書(教育出版)に「エシカル消費」について執筆。著書に『はじめてのエシカル』(山川出版社)、絵本『じゅんびはいいかい?〜名もなきこざるとエシカルな冒険〜』(山川出版社)。東京都消費生活対策審議会委員、日本エシカル推進協議会理事、日本サステナブル・ラベル協会理事、地域循環共生社会連携協会理事、ピープルツリー・アンバサダーなどを務める。