まめ学

9回も新種として命名されていたけれど 実は同じ種のハチでした

【クヌギハケタマバチの成虫と虫こぶ(単性世代)】虫こぶはクヌギの葉につくられ、その内部を食べて幼虫が育つ。身近な公園にも生息。

 体長3mmのハチがもつ特殊な生態がもたらした混乱に、ようやく終止符が打たれた。日本などに生息するクヌギハケタマバチ(ハチ目:タマバチ科)が、これまでに9回にわたって新種として名前(学名)が与えられていたことを国立科学博物館と九州大学の共同研究で突き止め、複数の学名を1つに整理した。

 文化庁によると、この混乱の原因は、タマバチの仲間がもつ特殊な生態が関係していたという。タマバチ科は世界で約1,400種が知られる、体長1~6mmほどの小型のハチで、日本からも80種以上が記録されている。多くは身近な公園などにも生息し、「どんぐりの木」として知られるコナラ属の樹木に「虫こぶ」という巣のようなものをつくって暮らしている。この虫こぶをつくるタマバチの多くの種は、年2回成虫が出現。1回はオスとメスが出現する「両性世代」、もう1回はメスだけしか出現しない「単性世代」。両者は虫こぶの形やつくられる部位、成虫の形態までもが同種とは思えないほど異なっている場合がほとんどで、誤ってそれぞれが別種として扱われていることがあったのだそうだ。

オスとメスがいる両性世代とメスだけの単性世代を交互にくり返す。成虫の姿、虫こぶの形やつくられる部位は2つの世代で異なる。
オスとメスがいる両性世代とメスだけの単性世代を交互にくり返す。成虫の姿、虫こぶの形やつくられる部位は2つの世代で異なる。

 研究によるとこのクヌギハケタマバチは、1904年に初めて新種記載されて以降、9回にわたって新種として発表されていたことが判明。両性世代と単性世代の結びつけや種内での形態変異の幅が十分に明らかにされないままであったことが要因らしい。そこで、1904年にクヌギハケタマバチの単性世代に最初に与えられた学名を有効な学名として残し、最新の分類体系に合わせて、ケロネウロテルス・ヤポニクス(Cerroneuroterus japonicus)とし、その他の学名をその異名とすることで、複数存在していた学名を1つに整理して混乱を収拾した。