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将来の社会についてポジティブな見方が後退 リクルート進学総研が「高校生価値意識調査2022」を実施

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 リクルート進学総研(東京)が実施した「高校生価値意識調査2022」によると、「あなたにとって社会人になるころの社会」について尋ねると、「明るい」、「やや明るい」の合計が50.9%、「あまり明るくない」、「明るくない」の合計が49.1%だった。

 「将来の社会が明るいかについて、二極化していますが、それより重要なのは、2018年と比較して『明るい』が2.3ポイント減少していることです」とリクルート進学総研の小林浩所長はいう。フリーコメントを分析すると、「2020年からのコロナ禍、2022年(2月にロシアによる)ウクライナ侵攻が始まり、まだ終わりが見えていません。特にウクライナ侵攻以降の世界の分断により、戦争というものが身近になり、台湾も含めて新たな危機が生じ るのではないかという不安が背景にあると思います」と小林所長はいう。

 「また、中長期的にも、環境問題、少子高齢化ということに対しての不安も挙げられています」と小林所長は続けた。

 ただ、今の自分については、「幸せだと思う」、「どちらかというと幸せだと思う」の合計が、2014年以降過去最高の80.8%となった。

 コメントを見ると、「衣食住に困らない」、「戦争がない」、「当たり前の生活を不自由なくできている」など、平和で身近な暮らしに幸せを感じている特徴が見られるという。

 社会の先行きに対する見方とは違って、自分の将来について「明るい」、「やや明るい」の合計は71.3%で、2014年からの連続増加となった。

 小林所長は「毎日ニュースなどで流れてくるウクライナ侵攻など海外の情勢と比較しながら、大きな幸せというよりは、家族や友人といった身近な人々と、いつも通りの日常が送れることや、自分次第ではやりたいことや夢にチャレンジできるという環境に幸せを感じていることが分かります」と分析する。

 高校生たちに「自分たちの世代の名前」を自由に記述してもらったところ、1位は「コロナ世代」(10.7%)、2位「Z世代」(8.8%)、3位「ネット・ネット依存・デジタル世代」(6.9%)、4位「SNS・SNS依存世代」(2.4%)、5位「ゆとり・「ゆとり」といわれる世代」(2.3%)という結果に。2位の「Z世代」は前回調査時(2018年)には出現せず、今回初登場。

 このほか自由回答からは、「コロナによりさまざまな機会が制限されたことや、デジタル環境に適応しつつもそれに頼りすぎている意識が見て取れる」という。

 さらに、「自分たちの世代ならではの「弱み」」は「コミュニケーション・会話が下手」(9.7%)が最多で、フリーコメントには「ネットに慣れすぎて対面コミュニケーションが苦手」という意見があった。次いで「インターネット・SNSへの依存やトラブル」(5.8%)、「経験不足(人生・社会)」(4.7%)という回答だった。

 「『青春マスク世代』、『制限世代』と称するように、コロナ禍で対面のコミュニケーションが制限されたこともあり、特に対面での会話やコミュニケーションが苦手だと認識していることが分かった」と小林所長は語る。

 逆に「強み」は「インターネット・SNS」が22.0%で最多となり、「インターネットに長く触れてきた経験を活かし、IT技術を使ったスムーズでグローバルな繋がりを構築できる」というコメントがあった。そして、「IT・情報化社会・デジタル」(15.6%)、「情報の収集力・伝達力」(5.8%)が「強み」だという回答が続いた。

 2012年調査で2位だった「若さ」は2022年調査では見当たらない。「2012年については自分たちの強みが集約されず分散していました。そのため、5.4%でも2位となっていました。今回はインターネットやIT、デジタル、インターネットによる情報収集や発信の上位3位までで43.4%に達しており、圧倒的にインターネット、デジタルという所に他の世代とは違う強みを認識しているのだと思います」と小林所長はいう。

 調査は今年8月26日から30日まで、調査時点で高校に在籍し大学、短大、専門学校への進学を検討する全国の高校生を対象に実施されて、1727人から有効回答を得た。インターネットで同調査を行った。