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これから賃貸住宅は「タダ」で住めるようになる!?そのワケは?

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もはやアパートはタダ!?アパートから始まるバブル崩壊の足音

いま、アパート建設が増えています。今年発表された新設住宅着工戸数の統計によれば、日本の新築住宅は2年連続で増え、もうすぐ100万戸に届こうとしています。その中で特に「貸家」の着工戸数が増えています。新築の住宅のうち、なんと4割はアパート、マンションなどの貸家の建設、それは前年比10.5%の大幅増加なのです。

そして一方、空き家が増えて社会問題となっていることはよく知られるようになりました。今後も人口減少とともにどんどん空き家が増え、15年後の平成45年にはなんど空き家の数が現在の2倍超、2000万戸を超えるという予測もあります。

それに伴う空室率の増加も大家さんにとっては深刻な問題です。ためしに、夜、帰りの電車の窓から見える賃貸アパート・マンションの明かりがどれだけ灯っているか見てみるのもよいでしょう。いま、首都圏では駅からちょっと離れれば空室率30%、40%のアパート・マンションがゴロゴロ、もう当たり前になりつつあります。

空き家が増え、空室率も高水準なのに、先を争うように賃貸アパート・マンションを建設している…何かがおかしいと感じませんか?そう、いま、何かがおかしいのです。不動産市場には何かのひずみが生まれ、それが静かに貯まり、何かを求めてうごめいているのです。

金融庁も、日本銀行も、それぞれ発行しているレポートでこの状況に警笛を鳴らしています。それは、いつか「バブル崩壊」という形で現れるかもしれません。バブルなんてもうテレビでしか見たことのない昭和の華やかなりしきらびやかな時代、もう30年も前に起きたことというイメージですが、それがこの数年内にまた起きるかもしれないのです。

海外では金融の引き締め方向に舵を切っている一方、日本はまだまだ金融を緩和して、お金をどんどん市中に流通させています。統計を見てもバブル期よりも「カネ余り」、この余ったカネの一部が、アパート建設に使われています。知らない間にお膳立ては整っているようにも見えます。

バブル後にはタダで家に住める魔法の「フリーレント」

仮に、何かのきっかけでパーンとバブルが弾けたとしましょう。大家さんは借金を返済するために、なんとか賃借人を探そうとするでしょう。しかし、その頃には世の中にアパート・マンション物件が有り余っています。空室率も今以上になることは間違いありません。

賃料も下がりますが、それだけではありません。借りてくれる人を募集する決定打として大家さんが用意する非常手段が「フリーレント」です。

「フリーレント」とは、その名の通り入居時に「タダで」借りることができる条件です。通常は入居時から期間を設けてその間だけタダになるわけですが、これを利用するのです。「タダ」で借りて、「タダ」の期間が過ぎれば、退去して別の物件をまた「タダで」借りれば、ずっと「タダで」借りることができるのです。

不景気の時にオフィス物件でよく使われた手法ですが、これが今、ひそかにアパート・マンション物件でも使われるようになりました。現在は1か月だけフリーレントとなる物件が見られる程度ですが、これから空室が増えれば、3か月、半年、1年とフリーレント期間が長くなること間違いありません。

スマホとコンビニさえあれば生活ができる時代、モノを持たず、シンプルな暮らしが好まれています。引っ越しの荷物がほとんどない人に、「フリーレント物件」はいかがでしょうか?

<筆者略歴>

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中山 聡:一級建築士・不動産鑑定士

中山 聡:一級建築士・不動産鑑定士 富山県生まれ。東京大学医学部を卒業後、信託銀行(現.三井住友信託銀行)、近畿大学工学部、不動産開発上場企業(現.日本アセットマーケティング株式会社)、早稲田大学大学院ファイナンス研究科招聘研究員、チームラボ株式会社、株式会社カレン、不動産コンサルティング企業にて、インターネットで不動産取引ができる環境づくりを中心に、研究開発室長、経営監査部長として事業開発、M&A、事業会社管理に携わる。2012年に帰省し、株式会社リアルブレイン不動産鑑定代表取締役を経て、現在、わくわく法人 rea 東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社代表取締役。不動産鑑定士・一級建築士。執筆・著書に『ビジネス図解 不動産のしくみがわかる本(同文館出版)』『空き家の問題と不動産鑑定評価について(北陸不動産鑑定会会報)』『はじめてでもわかる不動産金融工学(雑誌「ルクラ」連載)』『不動産カウンセリング実務必携(日本不動産カウンセラー協会刊・共著)』などがある。

(中山 聡:一級建築士・不動産鑑定士)

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