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“仏料理界の法王”逝く 世界が悼むポール・ボキューズ氏

 ピエスモンテが描かれたレストラン「ポール・ボキューズ」の象徴的な店構え。
ピエスモンテが描かれたレストラン「ポール・ボキューズ」の象徴的な店構え。

 “フランス料理の法王“と呼ばれ、ミシュラン三ツ星を半世紀以上にわたり維持してきたシェフ、ポール・ボキューズ氏が20日、91歳で亡くなった。「ヌーベル・キュイジーヌの旗手」と称揚され、第二次大戦後のフランス料理界を牽引してきた伝説のシェフ。マクロン仏大統領は、「ポール・ボキューズの名はフランスの美食の化身だった」と追悼。昨年まで、ボキューズ氏のレストランの”お膝元”、リヨン市の市長を務めたジェラール・コロン内相も、「ガストロノミーは哀しみの中にある。彼はフランスそのものだった」とその死を悼んだ。

ボキューズ氏本人が描かれた外観。
ボキューズ氏本人が描かれた外観。

 レストラン、ポール・ボキューズは、フランス南東部リヨン市の郊外、コローニュ・オー・モンドールにある。エリゼ宮(大統領府)の晩さん会で1975年、当時のジスカール・デスタン大統領に捧げたトリュフのスープをはじめ、スズキのパイ包み焼き、クネルのザリガニソースなど、名物料理は数知れず。世紀の料理人とも形容され、料理人たちが腕を競い合う「ボキューズ・ドール」も創設、後進の育成にも力を入れた。

 ル・モンド紙などフランスの各メディアによると、1926年生まれのボキューズ氏は、16歳の時から地元リヨンで料理の見習いを始めた。第二次大戦末期、シャルル・ドゴールのフランス解放軍に志願して従軍し、戦後は女性で初めてミシュラン三ツ星を獲得したユージェニー・ブラジエ氏などの下で更に修行。生家のレストランを継いでから、年々ミシュランの星を上げ、1965年、初めて三ツ星を獲得した。

名物トリュフのスープ。
名物トリュフのスープ。
クネルのザリガニソース。
クネルのザリガニソース。

 「良い食材が良い料理を生む」が信条で、古典的で重厚なフランス料理から、新鮮な素材を使った繊細でより軽い新しい料理、「ヌーベル・キュイジーヌ」への流れをリードした。ヨーロッパ各地、米国など世界を旅したが、日本への関心は特に強く、複数の店を持つ。晩年はパーキンソン病を患っていたが、「100年生きるように働き、毎日が最後の日であると思って人生を味わいたい」と話し、生きる意欲にあふれていたという。

(text by coco.g)