まめ学

【海外でどう子どもの日本語を維持する?】 週1で補習校に通う国際結婚家庭の子ども

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兄弟イメージ

 日本で生まれて日本で育つと、日本語は話せて当たり前のように感じるが、必ずしも日本人=日本語が流暢(りゅうちょう)とは限らない。例えば親の都合で数年~長期間を海外で過ごした帰国子女。または国際結婚をしたカップルの子どもたち。親が日本人だから、または日本で生まれたからといって、自然と日本語を覚えるわけではない。これから国際結婚を考えていたり、子連れでの海外赴任が決まっていたりする人もいるだろう。その場合、子どもの日本語教育はどうする? 日本語の優先順位は? 今回は多言語環境下にある2家庭を紹介。海外で子どもの日本語学習、もしくはほかの言語の習得を考えている家庭の参考になればうれしい。

*母親が日本人、父親がフランス系カナダ人で、現在はアメリカ・ワシントンDCに暮らすT家の場合。仮名:夏帆さん(母)、デービッドさん(父)、長男・正樹くん(小3)、二男・大輔くん(小1)

-カナダ・アメリカ・日本の3カ国3言語

 T家の兄弟が生まれたのはカナダ東部・ケベック州のモントリオール。その後、カナダの首都オタワに引っ越し、2016年にワシントンDC(以下DC)に来るまではオタワで生活していた。父親のデービッドさんがフランス語圏のケベック州出身であることから、オタワではフランス語で授業が行われる公立小学校へ。そしてDCでもフランス語学校(Lycee Rachambeau-French International School)に通っている。

 兄弟間、そして息子-父親間ではフランス語を使用しているが、夏帆さんが2人に話しかける時に使うのは日本語のみ。今のところ、2人からの返事も100%日本語で返ってきていて、読み書きを含めて日本語に支障はない。ただ、不安要素がないわけではない。DCにはいわゆる補習校と呼ばれるワシントン日本語学校があり、2人は週1回、土曜日に日本語を学んでいる。成績は優秀な方だが、最近、兄弟間の会話で日本語が使われることはほとんどなくなったという。それは昨年夏、日本に1カ月以上滞在した後も変わらなかった。

-学年が上がるにつれ、勉強が多忙に

 T家では基本、毎年夏に夏帆さんの故郷である高知県へ帰省。5~6週間を日本で過ごしている。滞在中は地元の小学校にも通い、生活では日本語を使用する。その結果、一昨年までは日本に滞在すると、しばらくの間は兄弟間で使われる言語も100%日本語にシフトしていた。それが昨年は初めて、日本滞在中も兄弟だけで話す時はフランス語中心のままに。注意をしても、会話が完全に日本語のみとなることはなかった。この変化に、夏帆さんは危機感を抱いている。特に長男の正樹くんにとっては、ただでさえ週6日(平日+土)の学校通いが大変なうえに、フランス語学校で履修している英語とスペイン語も加わり、日本語を含めた4カ国語の勉強に追われる生活だ。

 T家ではデービッドさんの仕事上、家族全員で日本に住む可能性はなく、今後も、家そして外で使う主言語はフランス語となる。ただ、「日本人の母を持つ子どもとして、いつまでも自分が日本人&カナダ人であるという自覚は持ち続けてほしい。そして将来、大学選びやキャリア選択を考えた際、日本語が選択肢の1つとして選べるようにしてあげたい。そのためには、少しでも長く補習校通いを続けさせたい」と夏帆さんは話す。

 忙しくはありつつも、現在はなんだかんだと楽しく通っている土曜日の日本語学校。小学校高学年や中学生にもなれば、日々の勉強がさらに大変になり、日本語との両立がもっと厳しくなっていくだろう。どのようにモチベーションを維持して日本語学習を続けさせるかが、当面のT家の課題だ。

(M.O.)