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ネガティブな感情で自暴自棄にならないための3つの対処法

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犯罪のほとんどは病的な要素や発達に問題のない加害者によるもの

突然、人ごみや電車の中で無差別に切りつけたり一方的な恨みで襲いかかる等、動機や背景の理解に苦しむ、まるで自暴自棄とも言える事件が相次ぎました。

こういう理不尽な事件が起きるとメディアでは加害者の病的な要素や発達の問題に結びつけて解釈することがありますが、H29年度の「犯罪白書」をみると刑法犯全体の中で精神障害者の占める割合はわずか1.8%、殺人事件をみても14.8%にしか過ぎません。明らかに少数であり、犯罪のほとんどは病的な要素や発達に問題のない加害者によるものなのです。

ですから残酷な事件に対して「あれは特別な人間が起こしたことだ」というストーリーに納得することなく、むしろ「私たち自身も彼らと同じ心理状態に追い込まれた時、自暴自棄の行動をしてしまう可能性はあるかもしれない」という謙虚な自覚を持つことが必要でしょう。

ネガティブな感情への対処法「身体化」「行動化」「心理化」

ではもし自分がネガティブな感情に振り回されてしまいそうになった時、どういう対処方法があるのでしょうか。

私たちは日々さまざまなストレスにさらされています。そのストレスへの対処として、私は経験上「身体化」「行動化」「心理化」の3つの様相があると感じています。

「身体化」は意志の力で解消できない要素もある

「身体化」は不眠や食欲低下、出勤・登校時の腹痛など、さまざまな症状でSOSのサインを送る場合です。「身体化」の場合、周囲から労わってもらえる、苦痛な状況から逃れられる等の利得もあり、なかなか意志の力では解消できませんが、対処法として意図的に身体に働きかけて心を落ち着かせる「自律訓練法」「腹式呼吸」や「系統的脱感作法」などがあります。

「行動化」は非行や犯罪につながりやすいリスクがある

もう一つは「行動化」。スポーツなどで前向きにストレスを発散する場合は良いのですが、心のエネルギーが枯渇し始めた時、逆に攻撃的な行動によってかりそめの万能感や自己愛を取り戻し、事態を一発逆転させようという心理にもなります。

こういう「行動化」は非行や犯罪につながりやすく、結果として誰にも理解されることなく叱責や懲罰を受けて逆にストレスを高めかねません。冒頭にあげた自暴自棄的な犯罪の多くはこの心理が背景にあるのだろうと私は思っています。

「心理化」が一番望ましい対処法な理由

それに対して「心理化」には自らを客観視して感情のコントロールへつながる可能性があり、一番望ましい対処法でしょう。私たちカウンセラーは相談者の自己内省を促し、「心理化」によって悩みを解消することを目標としています。

具体的には「会話を通じた心理療法」や考え方のパターンを意識的に変えていく「認知行動療法」、絵や箱庭などのイメージで感情や思いを表現する「アートセラピー」などがあります。

対処法に共通する「他者の存在」

これらの対処法に共通するのは「他者の存在」です。「身体化」は他者からのいたわりを求め、「行動化」は他者を攻撃することでかりそめの万能感を掻き立てます。「心理化」は自己を映し出す鏡として他者が必要です。「誰もわかってくれない」という孤立無援感はこれらの対処法に結び付かず絶望感を招きかねません。

「怒り」や「いらだち」はその場で湧き起る感情ですが、それが積み重なると『積年の恨み』となり、そこに「誰もわかってくれない」という孤立無援感が加わると『世間に対する怨み』になってしまいます。

その根深い「怨恨」に「目にものをみせてやる」という絶望と復讐に彩られた万能感が加わると、無差別で自暴自棄な「行動化」につながりかねません。

そうならないためにも私たちは安心できる人との関わりの中で、自分自身の感情と冷静に向き合う必要があるのです。もちろん一人で扱いかねる感情に襲われて身動きできなくなった時は、迷わず安心できるカウンセラーに相談することをお勧めします。私たちはそのためにいつでもスタンバイしています。

<筆者略歴>

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岸井 謙児:臨床心理士・スクールカウンセラー

岸井 謙児:臨床心理士・スクールカウンセラー 1985年、普通高校にて不登校・学校不適応生徒を対象に学校カウンセリングを始める。1995年、特別支援学校にて、不登校・発達障害・被虐待児・摂食障害児などを対象に学校カウンセリングを実践。2007年、聴覚特別支援学校にて、発達障害・聴覚障害児・被虐待児・学校不適応児などに対して学校カウンセリングを実践。2013年、退職してカウンセリング・オフィス岸井を開業するとともに小学校・中学校・高校・特別支援学校のスクールカウンセラー及び大学の保健センターでのカウンセラーとして勤務中。

(岸井 謙児:臨床心理士・スクールカウンセラー)

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