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ベランダ越しの受動喫煙で近所トラブル、悪いのはいつも喫煙者?

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2012年の名古屋地裁判決以降、肩身が狭くなった喫煙者

オリンピック・パラリンピックの開催を2020年に控え、厚生労働省が受動喫煙防止対策の強化に乗り出すなど、喫煙者は肩身が狭くなる一方の昨今です。真夏は汗だくになりながら、また真冬は寒さで身を震わせながら、マンションやアパートのベランダで喫煙する人も多いのではないでしょうか。

今回はベランダなどで喫煙をしている、いわゆる「ホタル族」の人たちの喫煙場所が失われかねない現状について考えてみようと思います。

ベランダでの喫煙を論じる際によく登場するのが、2012年(平成24年)の名古屋地裁判決です。「下の階の住民がベランダで喫煙していたことに対して、上の階の住民が訴訟を提起し、裁判所が喫煙者側に慰謝料5万円の支払いを命じた」という判決です。

細かい事情はいろいろとありますが、ベランダでの喫煙を違法と断じた裁判例として有名です。もちろんこれをもって、「いかなる場合もベランダで喫煙をすることが違法」というわけではありませんが、なかなか画期的な判決だと思います。その後、喫煙者の肩身はどんどん狭くなり、今では「ベランダでの喫煙を禁止する」といった管理規約のマンションも増えているようです。

法律的には合法だが、喫煙禁止の条例がある場所での行為には罰則がある場合も

タバコが人体に有害なものであり、自分が吸ったわけでもないのに受動喫煙で健康被害などに遭うということを考えると、喫煙する側も「周りへの迷惑を考え、十分に配慮しなければならない」というのは常識的に理解されていることだと思います。

ただ法律的にみれば、タバコは合法な嗜好(しこう)品として販売されているものであり、タバコを吸うこと自体が直ちに違法な行為となるわけではありません。

路上喫煙等を禁止する条例がある場所での喫煙行為は、罰則を設けているケースもありますので、そういった限定的な場面を除き、法令違反となるというものではないと言えます。集合住宅等で喫煙禁止となっているケースでは、禁止された場所で喫煙をした場合、契約違反となって契約上のペナルティーを負う可能性もあります。

また、お店などで「禁煙」とされている場所で喫煙をした場合、そのお店等のルールに従わなかったということで退店を要求されることになるかと思われます。お店のルールとして、喫煙をしてはいけない場所だということを分かっているにもかかわらず喫煙をした場合、先の名古屋地裁の裁判例のように民事上の慰謝料支払い義務が生じる余地はあり得るでしょう。

また、退店の要求に反して居座って喫煙を継続したということになれば、刑法上の不退去罪(刑法130条後段)が成立し得ます。そこまでいくケースはまれだとは思いますが、念のため指摘しておきます。

タバコをめぐるトラブルの回避には喫煙者のモラルに期待

現状、日本でタバコが合法なものとして販売されている以上、条例等で限定的な範囲で喫煙が違法となる場合を除き、法令によりタバコを吸うこと自体が禁じられているということはありません。

嫌煙家からすれば「もっと取り締まりを強化してほしい」「法で喫煙そのものを禁止してほしい」と思うかもしれません。ただ、税収面のこともあるでしょうし、タバコ産業に勤務し、それで生計を立てている人たちを無視することもできません。

「法令でタバコを禁止することは難しい」、とはいえ「タバコが他人の迷惑になり得るものである」ということを踏まえると、タバコをめぐるトラブルを回避するためには、喫煙者のモラル、マナーに期待せざるを得ないということです。

ほんの少しの気遣いでタバコによるトラブルは回避できると思います。例えば、ベランダでの喫煙が禁止されていない集合住宅等において、ベランダで喫煙をする際に、隣や上の窓が開いていないか確認する、洗濯物を干している場合は、できるだけ遠いサイドへ移動して喫煙するなどの心遣いが第一歩かと思います。

かくいう私も愛煙家ではあります。昨年、タバコを吸わない人のことも考え、従来の紙巻きタバコから加熱式タバコに変えてみました。最初は違和感しかありませんでしたが、すぐに慣れました。「加熱式タバコでも、他人への害がゼロということではない」ということは自覚していますが、においが少ないことで周囲の評価は上々です。個人的にはおすすめです。

<筆者略歴>

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河野 晃:弁護士

河野 晃:弁護士 学習院大学法科大学院法務研究科を卒業後、平成22年、弁護士登録・水田法律事務所に入職。刑事事件、遺言・相続、離婚、債務整理、交通事故などを中心に法律関係全般を取り扱う。

(河野 晃:弁護士)

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