スポーツ

地元出身者の熱意で開催誘致  オリンピックデーラン中津大会

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参加者全員で記念撮影

 オリンピック選手と一緒に走り、体を動かすことでオリンピックを身近に感じてもらうオリンピックデーラン中津大会が11月11日、大分県中津市で開かれた。2018年度は全国で6回目、中津市は7年連続の開催になる。2012年ロンドン・オリンピックの体操の銀メダリスト、田中和仁選手ら9人の選手が、快晴の空の下、約1000人の参加者とジョギングや競技体験、トークショーで交流を深めた。

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ハンディをものともせず全力疾走の高瀬選手(後方)
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酷寒の中、こんな薄いユニホームで競技と話す目黒選手(右)

 2キロのジョギングの後は、選手との50メートル競走。ロンドン大会と16年リオデジャネイロ大会の代表だった陸上短距離の高瀬慧選手が、子どもたちと走り、5メートルのハンディを背負いながらも本気で走って逆転し、観戦していた人たちから「大人げない」と冷やかされ笑いを誘った。トークショーではその高瀬選手が「オリンピック選手村では、マックのハンバーガーが食べ放題。外国人選手がたくさん食べていたので大丈夫かなと思っていたら、(100メートル金メダルの)ボルト選手も食べていたよ」と裏話を披露し、子どもたちも興味津
々に聞き入っていた。

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中津開催に尽力した薬師寺さん(右)と藤野さん

 1998年長野、2002年ソルトレークシティー両冬季オリンピックのバイアスロン代表だった目黒宏直さんは、氷点下30度の酷寒の中で競技したこともあると話し「スキーで滑走中に、腕をぶるっと下に振ると血行が良くなって腕が動く」と説明すると、引率の大人たちが驚いたような表情になった。子どもたちは
バイアスロンが理解できないのか、やや騒がしい。柔らかな日差しの下、和やかな雰囲気でイベントは進んだ。
 中津市は瀬戸内海に面し、大分県と福岡県の県境にある人口約8万4千人の町。ここでオリンピックデーランが開催されるようになったのは、中津市出身のスポーツ関係者の働きかけがあったからだ。地元、中津北高校OBの薬師寺毅さん(65歳)は大手広告代理店で働きながら、日本馬術連盟、日本オリンピック委員会
(JOC)の役員も務めていた。子どもたちが選手と触れ合い、オリンピックへの理解を深める機会としてオリンピックデーランを古里でも開けないか、高校時代の同級生で中津市議会議長の藤野英司さん(66歳)に持ちかけた。

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ENEOSのブースでエネゴリくんと写真に収まるオリンピアン

 賛同した藤野さんは市長や市議らを説得し、小都市ながら20年以上、オリンピックデーランを開催している福島県喜多方市の大会に参加。数千人の参加者がある茨城県ひたちなか市の大会も視察して準備体制をつくりJOCに働きかけたという。薬師寺さんは「自分もJOCの役員として何度か各地のオリンピックデーランに出かけ、素晴らしいイベントと感じた。古里の子どもたちに夢を与えたいという思いで開催を検討するよう持ちかけた」と振り返り、藤野さんは「20年の東京オリンピックまでは中津で開催したい。その後は、大分県内などで持ち回りで開催し、このイベントを広げていきたい」と将来の希望を話してくれた。

 オリンピックデーランの開催で機運が高まったのか、大分県、中津市とマレーシア国立スポーツ研究所の間で、20年東京大会でマレーシア代表チームが中津市で事前キャンプを行う覚え書きが交わされた。藤野さんたちの努力は徐々に実を結びつつある。ただ、イベント開催もキャンプの誘致も地元負担の費用が掛かる上、スタッフを提供する地元体育協会、競技団体の協力も欠かせない。子どもたちの夢を支えていくために、大人の熱意と理解が何より必要だ。