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知る機会が少ない大事な話【この人に聞く!】 危機管理NPOの深見真希さん(2) 起業のきっかけは・・

IIGR初のイベントで。(手前左が深見さん。)
IIGR初のイベントで。(手前左が深見さん。)

 前回に引き続き、アメリカ・メリーランド州に本部を置く、危機管理のシンクタンク・NPO法人「IIGR」(International Institute of Global Resilience)代表の深見真希(ふかみ・まき)さんを紹介する。

 京都大学で非営利組織論を専攻した深見さんは、京都大学大学院に進学後も、組織論から見た危機管理のあり方を研究。日本とアメリカの双方でフィールドワークなどを行い、日本における第一人者となった。

■研究を生かすために起業

 日本のみならず、アメリカのジョージワシントン大学などでも客員研究員を務め、組織論から見た危機管理という、日本では新しい分野における第一人者となった深見さんだが、その時点では今後も危機管理を専門としていくことや起業することは念頭になく、一時は国際機関に就職することも考えていた。そんな時に、深見さんの考えを大きく変えさせる出来事が起こる。2011年3月11日に発生した東日本大震災だ。

国際危機管理者協会(IAEM)で表彰される深見さん。(左)(IIGRのHPより)
国際危機管理者協会(IAEM)で表彰される深見さん。(左)(IIGRのHPより)

 学者として危機管理学を研究しながら、日本で起きた未曾有(みぞう)の大災害ではその研究成果を生かすことができなかったと感じた深見さん。個人的に大きなショックを受け、何も手につかない日々が続いた。そんな中、「あなたの研究は今後必要とされる」などと周囲から励ましや後押しを受け、学者として何ができるかは分からないけど、今やれることから少しずつ始めようと、2012年4月にIIGRを設立。2012年7月には、日米の専門家を集めたIIGR初のイベント「3.11 Eyewitness “Perspective from the Ground”」の開催までこぎ着ける。

■危機管理のスペシャリストを育てるために

 IIGRでは、危機管理における企業・行政のコンサルティングから委託研究、研修事業までと幅広く活動していて、これまで東京都・海上保安庁・熊本大学・慶應大学・民間企業などへプログラムを提供している。また深見さんは、IAEM(International Association of Emergency Managers)という各国の危機管理のプロが集うNPOの初代日本代表も務め、2013年にはその功績である「危機管理業界における日本人と世界の仲間たちをつなぐための並外れた努力」が評価されて、IAEM理事長賞を受賞している。国内では、日本で初めてとなる、緊急時総合調整システムの『ICS(Incident Command System)基本ガイドブック―あらゆる緊急事態に対応するために―』を、日本医師会・厚生労働省・IAEM(国際危機管理者協会)とともに2014年に出版した。

厚労省などと共同出版した緊急時のガイドライン「ICS基本ガイドブック」。
厚労省などと共同出版した緊急時のガイドライン「ICS基本ガイドブック」。

 現在の活動は日本そしてアメリカが中心だが、国を超えて災害などの危機に対応できる仕組みを構築することが深見さんの目標だ。

 次回は、国際結婚・育児との両立の苦労などについてお伝えする。