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願いを叶える代償は? 映画『ザ・プレイス 運命の交差点』

(C)2017 Medusa Film SpA .
(C)2017 Medusa Film SpA .

 さまざまな希望や欲望。もしもそれが必ずかなえられるとしたら、人はどんな代償を許容するだろうか?自分では決してのぞきたくない自身の心の奥底を、鏡のように見せてくれる映画『ザ・プレイス 運命の交差点』が公開されている。

 ローマの街角にあるカフェ「ザ・プレイス」には、いつも一人の男が座っている。彼は誰の、どんな望みでもかなえるといい、さまざまな人が彼の元を訪れる。だが、願いをかなえるには代償がいる。見ず知らずの他人の運命を変えてしまうような結果を引き起こす行動が、その“宿題”だ。アルツハイマーの夫を治してほしいという老女に課されたのは、人が多い場所に爆弾を仕掛けること。息子をがんから救いたいという父親には、少女を殺すこと、夫の関心を引きたいという女性には、別のカップルを破局に導くということ、美人になりたいという女性には、強盗すること…。そんなことはできない、課題を別のものに変えてくれ、という人々に、やれば願いはかなうが、誰も強制はしない、とその「判断」を丸ごと手渡す男。

 映画の場面は、男がいるカフェから一歩も外に出ない。相談と経過報告に入れ替わり立ち代わり彼の前に座る人々の言葉だけが、“外界”を想像する窓だ。見えない心のうちで起きる善悪の線引きの葛藤を、誰もが彼の前にさらけ出していく。

 悩みや迷いを誰かに相談しても、結局決断するのは自分だ。ひねり出した結論と行動の責任は、たとえ誰のアドバイスを受けたとしてもあくまで自分自身にあり、その責めから逃れることはできない。課題をやり遂げる人もいれば、途中までやって断念する人もいる。それを逐一書き留めた彼の黒い手帳の分厚さが、人の煩悩の過多を象徴する。

text by coco.g