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現場が推し進める危険な組体操 本当に教育の一環?

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運動会の目玉である組体操が社会問題に

運動会と言えば、すぐに連想されるのが、学年対抗リレーとフィナーレで行われる組体操ではないでしょうか。昨今、この組体操が教育現場を揺れ動かしています。

私たち昭和世代では、運動会が行われる前は、行進練習、組み立て体操等の学年合同練習に明け暮れたものでした。現在のようにネットやSNSが発達していなかったので詳細は分かりませんが、事故の報告や新聞記事を見ることなく、7段ピラミッドや5階建てタワーの演技で観客席から大きな拍手を受けていたのを記憶しています。

組体操は、今でもリレー競技と肩を並べて、いや別格と言えるほど運動会の目玉演目として注目されています。教育現場においても「運動会には当然あるもの」と、組体操を支持する声は根強いものがあります。子供たち同士の連帯感や信頼感を共有するにはもってこいの演目であり、華やかさにおいてもアピール力においても、また、伝統的にもなくてはならない演目であることがその理由に挙げられています。

変わりつつある運動会のあり方

運動会と言えば対抗リレーや組体操のほか、玉入れ、ダンス、棒倒し、騎馬戦、綱引きなど様々な演目が夕方近くまで行われていました。しかし、近頃では、運動会そのものが変わろうとしています。生活スタイルの変化や、時代の流れとともに運動会が持つ競技会的な意味が薄れ、保護者に披露するだけのイベント的な運動会に変わりつつあります。演目内容の変化だけではなく実施時間も短縮される傾向にあります。

平成28年にスポーツ庁が「安全に出来ない場合は実施を見合わせるべき」と通知を出したことにより、近年では組体操や棒倒し等、子供たちが怪我をする恐れのある演目は避けられるようになりました。また、これを受けて多くの自治体がピラミッドやタワーの段数制限を設けたり、全面禁止にしたりしました。

教育的意義の高い組体操も子供の安全担保を第一に考えるべき

このような経緯から、運動会をイベントとみるのか、教育の一環と見るのか、教育現場と保護者の間で感覚のずれが出来つつあります。前述したように、ある程度の危険を伴っても「子供たち同士の連帯感や信頼感を共有するにはもってこいの演目であり、華やかさにおいてもアピール力においても、また、伝統的にもなくてはならない演目」である組体操を、団体行動を訓練する教育の一環として実施したい教育現場の感覚と、我が子の安全の為に組体操のような危険な演目に参加させたくない保護者の感覚、この二つの感覚を踏まえて、実施者である学校が、どの様な位置づけで捉えるかが、今後も運動会で組体操を存続させる大事な点ではないでしょうか。

伝統的で、教育的意義の大きい、アピール力もある組体操を、どの様な形で安全に実施出来るか、教育現場の腕の見せ所ではないでしょうか。「集団で成し遂げる教育的意義は理解できるが、高さにこだわらず、安全に軸足を置くよう各自治体に再考を促したい」という大阪府教育長の見解は、組体操のみにとらわれず、教育の一環性に対する学校と市民のギャップを理解し、解決する上で、的を射たものではないでしょうか。

<筆者略歴>

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栢原 義則:進学塾塾長

栢原 義則:進学塾塾長 塾歴35年、低学年指導歴20年余の経験から開発された独自の「学びの感性を育む」フェイス学習法をベースに手作りの教材、塾の授業時間内で完結した(宿題を出さない)指導を行う。脳科学を取り入れた楽しいプログラムで、子供の発育・学習能力の発達に合わせた授業を提供している。中学受験合格率92.4%以上。京都大学医学部・経済学部をはじめ多くの国立・有名私立大学に進学実績を持つ。

(栢原 義則:進学塾塾長)

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