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今治タオル実習生の不当労働報道から思う。ブランドは誰のもの?

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今治タオル縫製工場におけるベトナム人技能実習生問題

NHKのドキュメンタリー番組で、今治タオルを扱う縫製工場で働くベトナム人技能実習生の劣悪な労働環境が報道され、タオルの不買運動が広がるなど大きな波紋が広がっています。

今治タオルは、2007年に本質的価値を「安心・安全・高品質」に定め、ロゴマークを発表すると共に、地域団体商標を登録。その後も国内外に向けたブランディング活動を続けています。私も3年前に今治タオルを観光みやげとしてもらって以来、すっかりこの日本製高品質タオルのファンになりました。

傷ついた今治タオルのブランドイメージ

ところが、今回の報道を受けてブランドに対する私のイメージは変わりました。同じようにタオルを使っていても、以前の様な幸せな気持ちになれなくなってしまいました。

ブランドを管轄する今治タオル工業組合はホームページで (1)当該企業は組合員ではない (2)当該企業は下請け企業なので当組合も社会的、道義的責任を受け止めている (3)技能実習生の労働環境の改善に取り組む (4)法令遵守等を周知徹底する というコメントを発表しました。

この発表がすみやかに実行されることを信じています。もし、中途半端な対応に終わってしまうようなことがあれば、これまで長い年月をかけて築き上げてきたブランドイメージは崩壊してしまうかもしれません。

しかし、今回の一件は消費者に健康被害がでた訳でも、品質表示に虚偽記載があった訳でもありません。消費者にとって直接の不利益がなかった出来事は、一昔前なら「下請けが起こした不祥事」として大きな問題になっていなかったかもしれません。ではなぜ、このような反発が起こったのでしょうか?

ブランドの所有者は誰?

皆さんは、ブランドの所有者は誰だと思いますか? もともとブランドとは、牛の群れから自分の牛を区別するためにつけた焼き印を意味する言葉が語原と言われています。『この牛はウチのものだ』という宣言がブランドの原点なので、ブランドの最初の所有者は企業でした。しかし、いくら企業が商品の良さを叫んでみても、その価値を判断するのはお客さまです。お客さまもブランドの所有者です。

また、従業員もブランドの所有者です。ブランディングにはその企業で働くすべての人の想いの共有が必要です。想いを持ったブランドからは矜持が生まれ、従業員の行動や発言の積み重ねが本物のブランドをつくりあげていきます。従業員の犠牲の上に成り立つブランドは、はたして本物のブランドと言えるでしょうか?

ブランドは社会のものになった

そして、人々の意識が変わり企業、お客さま、従業員に加えて社会もブランドの所有者になりました。その昔、人は品質の良さといった機能的価値を基準に商品を選びました。その後は、可愛い・共感できるといった情緒的価値が選択肢に加わり、そして近年、社会的価値を基準として意思決定する購買者が増えてきました。いくら品質やデザインが良くても、企業の社会に対するスタンスが好きになれないという理由で商品を買わない人が増えてきました。

フェアトレードや環境保全などは関係ないと思っている中小企業や地域ブランドも、これからは社会的責任を果たせるか否かが存続の分かれ目になってきます。

利益のみを追求しているブランドや、従業員を使い捨てにするブランドは社会からその存在意義を認められない時代になりました。皆さんの会社は社会的責任を果たしていますか? ぜひ一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?

<筆者略歴>

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堀田周郎:ブランディングコンサルタント

堀田周郎:ブランディングコンサルタント 1958年、兵庫県生まれ。黎明期からインターネットを活用し、地元ですら無名だった家業の播州ハムを全国ブランドに押し上げることに成功。また、地域ブランドづくりも積極的に行ってきた。2016年より自身の実践を基にコンサルタント活動を開始。独自の価値の発見と一歩抜け出す仕組みづくりを得意とする。

(堀田周郎:ブランディングコンサルタント)

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