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沢尻エリカに田代まさしも やめられない違法薬物、依存の恐ろしさとは

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女優の沢尻エリカ容疑者や、タレントの田代まさし容疑者、元スノーボード日本代表選手の国母和宏容疑者など、違法薬物所持による有名人の逮捕が相次いでいます。沢尻容疑者は麻薬取締役法違反、田代容疑者は覚醒剤取締役法違反、国母容疑者は大麻取締役法違反の疑いでそれぞれ逮捕。報道によると、合成麻薬「MDMA」を所持していた沢尻容疑者は、取り調べに対し、10年以上前から大麻など複数の違法薬物を使用していたと供述しています。

また、田代容疑者は、違法薬物による逮捕を繰り返し、今回が5度目となります。自身の身を滅ぼすとわかっていても、違法薬物をやめられない理由はなんでしょう?薬物依存に詳しい精神科医の鹿島直之さんに聞きました。

脳の神経回路にダメージを与える薬物、得られる快感を求め常に薬物を渇望するようになる

Q:覚せい剤所持による芸能人の逮捕が続いています。違法薬物に手を出してしまうきっかけはどんなことが考えられますか?
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違法薬物を使用する心理的メカニズムとしては、何らかの不安やプレッシャーから逃れるため、イライラなど心の葛藤の行動化、または快楽追求が挙げられます。

沢尻エリカ容疑者の場合、違法薬物の使用を10年以上続けていると供述していますが、使用開始時のことに言及しておらず、具体的なきっかけは不明です。ただ、最初のきっかけが何であっても、一度何らかの薬物による依存状態になっていたのであれば、以後はストレスのあるなしに関わらず、薬物から得られる快感を求め、使用をやめられず、日常的に薬物を使用せずにはいられない状態に陥っていたのではないでしょうか。

また、10年以上にわたる使用の中で、「有名人が薬物で逮捕されるたびに、私も危ないと注意していた」とも供述しています。自分が逮捕される危険を長期にわたって感じながらも、やめられないことこそが、「依存」なのです。使用したのは、大麻、MDMA、LSD、コカインだそうですが、この中ではMDMAとコカインが、特に依存性の強い薬物といえます。

Q:沢尻容疑者が所持していた「MDMA」は、若い世代を中心に出回っているとして厚生労働省が注意を呼びかけています。簡単に入手できるのでしょうか?
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沢尻容疑者は、「MDMAはクラブで知人から入手した」と供述しています。MDMAは、依存性が強い覚せい剤の類似成分で、その作用も近いものです。ただ、覚せい剤と異なり、錠剤で飲みやすく、気軽に使用できる点が特徴です。

かつて覚せい剤の使用で逮捕された、タレントの酒井法子さんは「レイブ」と呼ばれる、野外などでダンス音楽が流れるパーティーで覚せい剤を使っていました。MDMAも、ダンスで得られる興奮や快感を高める目的で使用されることがあります。錠剤で、簡単に所持・使用できるMDMAは、集団でダンスを楽しむレイブやクラブで売買されることが多いのです。

Q:代表的な違法薬物には、どんなものがありますか?どれも依存性が高いのでしょうか?
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依存性の高い薬物として、覚せい剤、MDMA、コカインがあります。

覚せい剤は、日本の薬物事犯の90%以上を占め、再犯率は40%~50%と、極めて依存性が高いものです。神経伝達物質である、ドーパミンの作用を強め、一時的に気分を高揚させる効果があります。
MDMAも、覚せい剤の類似薬物で作用も近く、依存性が高いものです。コカインも、極めて依存性が高く、覚せい剤と同様に、脳内のドーパミンに作用し、気分を高揚させる効果があります。

また、他の違法薬物と一緒に扱われることが多い大麻については、近年、カナダやウルグアイ、アメリカの10州で、娯楽目的としての利用が合法化されたことからも、世界では、他の薬物より依存性、毒性ともに低いものと考えられています。

例えば、自伝で過去の大麻使用を明かしたアメリカのオバマ元大統領は、大統領就任前にはスモーカーでもありました。興味深いことに、大麻は高校時代の一時期に使用していただけでしたが、タバコは大統領になってもなかなかやめられなかったのです。

なお、1999年に米国医学研究所が発表した、薬物の依存性を比較した調査によると、大麻はタバコとアルコールより依存性が低いと位置づけられています。

Q:違法薬物を使用すると、人体にどんな影響があるのでしょうか。
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覚せい剤は、使用1時間以内に、気分が高揚し、「自分は何でもできる」という万能感がみられたり、多弁や多動となり、興奮状態になったりすることがあります。さらに、不眠や、時にけいれん発作を起こす場合や、交感神経が刺激され、血圧上昇、頻脈、手のふるえ、発汗を伴う場合もあります。

また、使用中断に伴う離脱症状としては、抑うつ、疲労感がみられ、長期にわたり使用をやめても、脳血流低下が持続し、意欲低下やうつ状態が続くことがあります。また、2~3カ月以上、大量に使用すると、「覚せい剤精神病」といわれる、幻聴や被害妄想を伴う幻覚妄想状態が出現することがあります。

MDMAも覚せい剤と同様の作用がありますが、経口摂取で使いやすいことから、激しい運動時に過剰に服用され、急性中毒で死に至ることがあります。
コカインは、南米でコカの樹をもとに生産されるため、日本ではあまり使用されませんが、覚せい剤と同様の効果があり、使用によって、幻覚妄想状態になることがあります。

大麻では使用後数時間続く、「トリップ」といわれる一過性酩酊状態となり、知覚過敏、時空間感覚の変容、恍惚感がみられます。

Q:田代容疑者は、薬物依存者向けのリハビリ施設でスタッフとして、薬物依存の恐ろしさを広める活動もしていました。怖さをわかっていてもやめられない理由はなんでしょう?
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脳には、快感を得られる刺激によって活性化する、「脳内報酬系」と呼ばれる神経回路があります。脳内のドーパミンを介して、その神経回路に作用する覚せい剤やMDMA、コカインなどの薬物を用いることで、脳に繰り返し「快刺激」がもたらされるようになります。

薬物依存症では、薬物の度重なる使用により、この脳の神経回路が刺激され、過敏になっていることから、常に薬物を渇望する心理状態に陥っているものと考えられています。

Q:薬物依存の治療方法には、どんなものがありますか?
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薬物依存は慢性の精神疾患であり、一時的に薬物の使用を中断していても、実際には治っていないことが多いものです。覚せい剤やMDMAを長年使用し、逮捕歴がある歌手のASKAさんも、自らのブログで、薬物について「目の前にそれが出てきた時には、どうなるかわからないという気持ちになることを知っておかなくてはなりません。一度、8カ月止めていたにも関わらず、それを回避できなかった事実があります」(オフィシャルサイト2016年7月22日のブログ記事より一部抜粋)と記しています。

治療にあたっては、「本当に薬物をやめたい」という本人の強い治療意欲に加え、集団療法や認知療法などによるカウンセリングを主体とした長期にわたる取り組みが必要になります。

しかし、日本では薬物依存症のための専門治療を行える入院施設は限られており、専門的な治療プログラムを外来治療で受けられる病院はほとんどありません。

これが、日本での違法薬物による薬物依存者の再犯率の高さにつながっています。

患者同士の自助活動としては、社会復帰を目的とした、全国のリハビリテーション施設「ダルク」や、各地で定期的なグループ・ミーティングを開催する自助グループ「ナルコティクス・アノニマス(NA)」があります。

Q:家族や友人など周囲の人が、回復のためにできることは?
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一般的に、依存症から回復するためのプロセスは、長時間を要し、大きな苦痛を伴います。ただ、周囲の人ができることは「援助」のみで、患者さんに代わって回復させることはできません。回復には、周囲の人の援助に加え、本人の強い意志が必要なのです。

また、依存性がある薬物の使用を続けるには、高額の費用が必要となる場合があります。薬物への渇望が強すぎるあまりに、患者さんが家族のお金を勝手に使いこんだりすることもあります。そのような場合に、家族は自分の身を守るために、患者さんと距離を置く必要があるでしょう。
家族が苦痛に耐え忍びすぎることは、かえって本人のためになりません。家族の生活をもおびやかす、家庭内での逸脱行為を断固として許さないことが、かえって自分が置かれた現実に気付くきっかけにもなるのです。

周囲の人は、適度な距離を保ちながら、回復を信じ、依存症から抜け出すための本人の努力とその歩みを、粘り強く見守ってあげることが大切です。

具体的には、苦闘する患者さんの気持ちをなるべく聞き、努力を褒め、回復のために周囲は何ができるのか、無理をしすぎない範囲で相談に乗ってあげることです。

<筆者略歴>

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鹿島 直之:精神科医 ・ 1995年 東京慈恵会医科大学卒業
・ 1996年 国立精神・神経センター武蔵病院にて研修
・ 1998年 東京慈恵会医科大学付属病院本院精神科勤務
・ 1999年 横手厚生病院勤務
・ 2002年 東京慈恵会医科大学付属第3病院精神科勤務
・ 2006年 町田市民病院精神科勤務(医長)
・ 2007年 成城大学非常勤講師を兼務
・ 2009年 平川医院勤務
・ 2011年 町田まごころクリニックを開業

鹿島 直之:精神科医

(鹿島 直之:精神科医)

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