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【映画コラム】「2019年映画ベスト10」 洋画はまずまず、邦画はいまひとつ

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4位『イエスタデイ』

 売れないミュージシャンのジャック(ヒメーシュ・パテル)が引退を決意した夜、世界中で謎の停電が発生。その渦中で交通事故に遭ったジャックが目覚めると、何とビートルズが存在しない世の中になっていた。

 世界中でビートルズの曲を知る唯一の人物となったジャックは、彼らの曲を歌うことで注目され、やがてメジャーデビューの話が舞い込む。

 監督ダニー・ボイル、脚本リチャード・カーティスによる何とも愉快なパラレルワールド話。ボイル監督が「これはビートルズへのラブレターだ」と語るように、この世にビートルズがいなかったら…という大胆かつ逆説的な発想を描くことで、ジャックが歌う彼らの曲が新鮮に聴こえ、改めてビートルズの素晴らしさを知らしめる効果がある。

 だからこそ、エンドロールに流れる“本物のビートルズ”の「ヘイ・ジュード」を聴くと、彼らがいてくれて本当によかったと実感できて、思わずホロリとさせられるのだ。

5位『ジョーカー』

 心優しい大道芸人のアーサー(ホアキン・フェニックス)が、なぜ邪悪なジョーカーになったのか…。本作はバットマンの宿敵誕生の物語を新たに創作した。

 人を笑わせたいという願望がやがて狂気に変わるアーサーの姿は、悲しみと不気味さを併せ持つピエロの本質を鋭く突く。そして、道化師と笑い、という意味では、チャップリンの『モダン・タイムス』(36)が映り、そのテーマ曲の「スマイル」が流れるのも象徴的だ。

 過去のジョーカー役にはコミカルさと狂気が目立ったが、本作では、そこに悲しみと醜悪さがプラスされ、エキセントリックな役柄を得意とするホアキンの独壇場の感がある。

 ただ、演じたホアキン自身が「アーサーへの同情もあるが、逆に彼にうんざりするところもあった」と語るように、本作のジョーカーには甚だ感情移入がしづらい。全体的に暗く、救い難い設定や、醜悪なアーサーの姿を見ると嫌悪感すら浮かぶのに、かえって、そうした負のパワーに引き付けられ、圧倒されるのは一体なぜなのだろう。

 以上、多少なりとも年末年始の映画鑑賞の参考になれば、幸いです。それでは皆さま良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。(田中雄二)

『ジョーカー』(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics