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コロナ感染で労災に認定される?全国で緊急事態宣言下でも出勤することの不安

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政府は、4月7日から東京都を含む7都道府県に出していた、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を、4月17日、全都道府県に広げました。政府は、「どうしても出勤が必要な場合でも、出勤者を7割減らす」として、事業者に協力を求めています。

ただ、緊急事態宣言下でも、医療従事者はもちろん、生活必需品を販売する小売業など、テレワークになじまない業種や、すぐにテレワークに移行できない会社などで、出勤せざるを得ない人がいます。新型コロナウイルスへの感染リスクがある中、通勤し、人と接しながら働き続けることに不安を感じている人は多いはずです。仕事をすることで新型コロナウイルスに感染した場合、労災として認められるのでしょうか。弁護士の片島由賀さんに聞きました。

業務または通勤との因果関係の証明には、感染経路の特定が必要。職場で感染者と接した場合は認定される可能性も

Q:そもそも、労災の給付はどのような場合に認められますか?
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労災保険とは、仕事中または通勤時に被ったケガや病気、障害、死亡に対して補償する制度です。業務が原因で、ケガや病気などが発生した場合は「業務災害」、通勤に伴う場合は「通勤災害」とされます。給付が認められるためには、「業務災害」では業務が原因であるか、「通勤災害」では、通勤によるものか、という因果関係の証明が必要です。

労災が認められると、療養にかかった費用が補償される「療養(補償)給付」や、療養のために仕事を休んだ期間の賃金が補償される「休業(補償)給付」などが受けられます。

Q:出勤したことで新型コロナウイルスに感染した場合、労災の対象となる基準は何ですか?
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厚生労働省によると、労災保険給付の対象は、「業務または通勤に起因して発症したものであると認められる場合」とされています。

具体的には、次の3つが証明されなければなりません。
感染から発症までの潜伏期間や症状などが医学的に妥当である。
業務または通勤における感染機会や感染経路が特定されている。
業務以外に感染源や感染機会が認められない。

労災申請は誰でも可能ですが、実際に給付が認められるには、ハードルが高いという印象です。特に、感染機会や感染経路は、無症状の患者からの感染や市中感染では、特定できる可能性は低いでしょう。また、現時点で、家族間での感染も広がっており、業務以外に感染源が認められないとされるケースも少ないのではないでしょうか。

Q:万が一感染し、労災が認められるケースは、具体的にどのような状況が考えられますか?
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感染機会や経路が明らかになりやすいのは、職場で感染者と接した場合です。

例えば「医療機関で感染者の診察や看護をして発症した」「職場で感染者と濃厚接触をした」「3密状態の職場から感染者が出た」などのケースでは、認められる可能性が高いです。その場合も、「勤務以外で外に出ていない」「家族も感染していない」などが前提となります。

一方、不特定多数の人と接する通勤時や、飲食店やスーパーなどの接客業では、たとえ通勤電車で乗り合わせた人や、来店した客から感染したとしても、「誰から感染したか」を明らかにする方法がありません。そのため、労災が認められる確率は低いと言えます。

Q:実際には、感染経路の特定が難しいケースも多いように思います。いざというときに労災申請ができるように、普段から意識しておけることはありますか?
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感染経路は、100%特定される必要はありませんが、高い確率で業務との因果関係が証明されなければなりません。前述のとおり、通勤時の感染経路の特定は難しく、「通勤災害」による受給が認められる可能性は低いと考えられます。

「業務災害」による受給を検討する場合、「いつ・誰と・どんな業務をしたのか」をタイムスケジュールとして管理しておくと、感染経路の特定につながります。

勤務場所や人数が限定される事務的な業務だけでなく、訪問先がたどれる営業のほか、顧客情報がはっきりしているような銀行の窓口や病院などの業務でも、自分が接した相手を特定できる手段があるので、証明につながりやすいと言えます。

Q:働きながら新型コロナウイルスに感染した場合、労災以外に、企業に手当など補償を要求する手段はありますか?
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まず、他の疾病と同じく、4日以上仕事を休んだ場合、健康保険制度の傷病手当金が受給できます。

厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症の特例として、「自覚症状はないが自宅待機をした」「感染の疑いがある」場合も受給が認められます。

「37.5℃以上の熱や風邪の症状が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」などの受診の目安に従って、「帰国者・接触者相談センター」に相談し、やむを得ず医療機関を受診しないまま、自宅療養により、症状が回復した場合でも支給対象となります。

事業者の証明が必要となるため、個別に判断されるでしょう。また、適用期間が今年の1月1日~9月30日のため、さかのぼって申請することも可能です。

また、新型コロナウイルスに限らず、労災による休業補償は、給付基礎日額の6割または8割となるため、労災申請とあわせて、民事上の損害賠償請求も行うというケースも少なくありません。労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」を法的根拠に、事業者側が感染対策を行うなどの措置をとったかどうかが争点となります。

事業者の感染対策としては、消毒薬の設置や、従業員へのマスクの配布、検温などがありますが、現時点では入手困難な場合もあるため、どこまで事業者側の責任を追及できるかが難しい判断となるでしょう。
また、緊急事態宣言下でもテレワークやフレックス勤務、臨時休業の措置をとらなかったことが、安全対策を怠ったとされるかという点でも、医療・介護など、そのような措置がとれない業種もあり、企業ごとに実現可能な範囲での対策を行ったかどうかがポイントとなりそうです。

もちろん新型コロナウイルスに感染しないことが一番ですが、万が一、勤務がもとで感染してしまったと考えられる場合には、申請などを検討しましょう。

<筆者略歴>

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片島 由賀:弁護士 島根県松江市生まれ
学習院大学卒業
平成19年3月 東京大学法科大学院修了
平成20年 弁護士登録(広島弁護士会所属)

片島 由賀:弁護士

(片島 由賀:弁護士)

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