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親から子への過干渉がもたらす問題とその対応方法について

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親から子供への過干渉はどのようにすれば減らせるか

ひだち教室に相談に来られる親の多くは、我が子の失敗体験に頭を悩まされ、心を痛めています。そして、どういう対応をすれば失敗をせずにすむかを訊いてこられます。アドバイスをする前に、これまでにどういった関わりをしてきたかを聞くようにしていますが、中には明らかに過干渉と呼べる関わりをしている親もいます。相談業務だけなら、親視点からしか状況が見えてきませんが、私の仕事は親と子供両方と関わるため、子供からの視点(思い)も知ることができます。過干渉をする親には親の言い分が、子供には子供の言い分があり、両者間で折り合いをつけて、過干渉を減らしていけるように働きかけるのが私の役目でもあります。経験上、私は過干渉を受けている子供の気持ちがよく分かります。そして、この仕事を始めてから親の気持ちというのも理解できるようになってきました。親は何故過干渉をし、子供はどう感じているのか。そして過干渉への対応方法等を書きたいと思います。

※過干渉には色々なケースがあり、自分のケースとは違うと感じる人もいると思います。こういうケースがあり、こういう考え方もあるんだという認識で読んで頂ければと思います。

過保護と過干渉とは

過保護と過干渉は、子供を助ける(手伝う)、守るという意味が含まれていますが、その性質は全く違います。その一番の違いは、子供が望んでいるかどうか。また、親のとった行動が子供にとって快か不快かでも区別できます。区別できますが、現実はそう簡単なものではありません。親は過保護と過干渉のどちらかをしてくるのではなく、過干渉と過保護を織り交ぜているケースがほとんどのため、対応が難しくなります。一見バランスが良いように思えますが、織り交ぜることによって子供は戸惑い、対応方法が分からなくなり、思考が停止してしまう、もしくは反抗という形で現れます。

何故親は過干渉をするのか?

家庭生活、学校生活、交友関係等、子供が様々な場面で失敗したり、非効率的な行動(子供にとっては効率が良い)をしたりすることで、親はその度に対応に追われます。それらが積み重なることで、「失敗したら子供がかわいそう」という強い同情心が芽生え、過干渉をする要因になります。日頃相談を受けていると、別の要因もあることに気が付きました。それは親の自己防衛反応によるもの。「子供が失敗すると自分が恥ずかしい」「自分のこれまでの人生では、その考え方はありえない」「自分の子供ならこうあるべきだ」といったことを実際耳にしました。子供の失敗によって自分(親)の心が傷つかないようにするため。自分の文化を侵そうとする知らない文化(子供の文化)から自分を守るため。それら自己防衛反応が過干渉へと発展します。ちなみに、ここでいう文化とは、その人の考えやこれまでの人生経験を含んだ価値観のことになります。親は強気のように見えますが、実は不安を抱えています。不安に苛まれるのが怖いから、過干渉という先手を打ってしまうのです。現在過干渉を受けている人には理解しがたいかもしれませんが、そういう一面があるということを、頭の片隅に置いて頂ければと思います。

子供は心底信頼されていないと感じるのが辛い

親は同情心や自己防衛反応が強まっていくと、「子供を信頼できない」という考えに至ります。勿論、口では「信頼している」と言うでしょうが、日常生活の何気ない行動で、それは嘘だと子供は気が付きます。こんな事例があります。

高校に通うC君(17歳)は、ある日の夕食にシチューが出されました。シチューは熱く、息を吹きかけて冷ましてから食べる必要があります。C君は息を吹きかけようとしたら、母親が背後からフーフーと息を吹きかけてきたのです。それを見ていた別の兄弟は「ありえない」と呆れますが、母親は真顔で「火傷するかもしれないから」と言ったのです。C君は母親のその行動に対して「やめろや~!!」と鬱陶しそうにしましたが、実はかなりショックを受けています。こんな簡単な事(息を吹きかけて冷ます)ですら、信頼されていないのかと感じたそうです。

親は子供のためを思っての行動だとしても、その行動は子供の心を著しく傷つけています。プライドを傷つける?子供扱いをされるのが腹立たしい?それもあるでしょうが、なによりも『心底信頼されていないと感じるのが辛い』のです。子供はこの世で一番信頼して欲しい親から、心の底から信頼されていないと感じるのは、最も辛い事だと、全ての親に知って欲しいです。

過干渉による子供の影響

親によるこのような行為が繰り返されると、自己肯定感の低下を招き、過干渉されればされるほど底なしに下がります。同時に、無力感に苛まれ、行動するためのエネルギー、積極性や意欲も低下していきます。信頼されていないと感じ続けると、承認欲求が強まります。親から信頼を得るのは難しいので、欲求は他者へと向くことが多いです。しかし、他者に求めるものの、心のどこかで親から認められたい(信頼されたい)という思いが常にあるので、承認欲求が満たされにくいです。承認欲求を満たすために、努力するタイプと努力できないタイプがいます。努力するタイプは一見素晴らしいと思われがちですが、自己肯定感の低さが合わさると、どれだけ良い結果を出しても満足ができず、終着点を見いだせないこともしばしばあります。過干渉は努力の仕方を学ぶ・考える機会を奪います。親に教えられた努力の仕方が通じないと、行動できなくなり、モンモンと日々を過ごし続け、いずれ疲れ果ててしまうこともあります。

親の過干渉に対する子供の対応方法

それではどのようにすれば親の過干渉に対処することが出来るのでしょうか?私は子供たちに次のような対応方法をお勧めしています。

①親から距離を置く
過干渉はそう簡単にやめられず、親に変化を期待するのは難しいです。あまりにもしんどいなら、物理的に距離を置くのは一つの手。それでも過干渉をしてくる親はいますが、物理的に距離があるので、比較的心にゆとりを持ちやすいです。距離をおくことで、子供自身が親に対する見方が変わることも少なくありません。親のありがたみや、親が言ってくることが少しは理解できるようになるからです。あくまで「少しは」ですが、親子関係修復の第一歩になりえます。逆に、過干渉に拍車がかかるケースもあるので注意が必要です。私が仲介役となり、親と生徒の気持ちをくみ取った結果、生徒は一人暮らしを始めるということがありました。生徒は一人暮らしを始め、心にゆとりを持てるようになりましたが、しばらくすると食事をあまりとらない生活になりました。生徒は激痩せする事態にまで発展しましたが、当の本人はそれほど気にしていない様子で、むしろ大丈夫ということを信じて欲しかったようです。当然親は心配し、その結果、生徒が頼んでもいないことをより一層するようになってしまいました。親から距離を置くのは有効ですが、事前に一人暮らしをするための生活力を身に着けておくことをお勧めします。

②断るスキルとスルースキル
ハッキリと断ることが出来るというのは非常に重要なスキルですが、これはなかなか難しいことでもあります。親は悪意なく干渉するので、子供を傷つけているとは思っていません。だからこそ、ハッキリと断る必要があります。親は「分かった」「気を付ける」とその場では言いますが、時間が経過すると結局やってきます。イタチごっこになるかもしれませんが、それでも断り続けるべきだと思います。断り続けることが、自己を保つ手段にもなるからです。過干渉されて、その度にキレるのはエネルギーを使います。時間も無駄で、空気が悪くなるだけなので、ある程度のスルースキル(受け流すスキル)が必要です。断るスキルとスルースキルを身に着ける。口では簡単に言えますが、それを身に着けるのは容易ではありません。強い反骨心があれば別ですが、優しい人や言いなり期間が長い人ほど身に着けにくいスキルです。
身に着くまでに時間がかかり、その間、心や体のどこかに無理が生じるので、自分の気持ちを誰かに話してください。しんどさを幾分か和らげる効果があります。

親が過干渉をしないために心掛けたいこと

子供は別の文化を持った人間(他人)という認識を持つことが大切です。自分の子供だから、同じ生活スタイルだからといって、同じ文化を持っているとは限りません。むしろ、同じ文化を持っている方が稀です。外国人と異文化交流をする際、自分の文化を拒否されたり、○○はこうあるべきだと言われたらどう感じますか?全ての人が不快に感じ、嫌悪すると思います。過干渉はそれと同じ理屈です。失敗体験が多く、非効率的な行動をとる子供をずっと見てきていると、すぐに信頼は出来ないかもしれません。しかし、子供の文化を認めることは意識次第でできます。認めることが、子供を信頼できる第一歩だと思います。

<筆者略歴>

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安藤 和行:ひだち教室長 大学時代のボランティア活動で、自閉症という言葉を初めて聞く。
保育所で3年間勤務。その中で自閉症の子供と関わる。
大阪府にある障がい者対象のグループホームで、世話人として2年間勤務。
大阪市にある幼児教室で、発達障がい児部門の部門長として11年間勤務。
2018年、子育て・自立サポート「ひだち教室」を設立する。

安藤 和行:ひだち教室長

(安藤 和行:ひだち教室長)

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