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SNSの真実とは? 『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』【ネトフリさんぽ③】

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 頭では分かっているのにやめられない。これは「中毒」だ。インターネットや SNSがもたらした恩恵や日常の利便性を十分に認めたうえで、そのコインの裏側にある問題に焦点を当てた『監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影』は、スマホを脇に置いていったん立ち止まり、日常を見直す一つのきっかけになるかもしれない。

 フェイクニュースやSNS絡みの自殺、鬱(うつ)など、問題があることは誰もが認める。だが、テクノロジーを生み出した彼らに原因はどこにあるのかをたずねると、一様に、困ったように沈黙する姿が印象的だ。問題があることは明らかなのに、その原因を特定できない。テクノロジー自体が悪いわけではなく、「社会の闇を引き出す力が問題」だと考えている点で、彼らは一致しているように見える。

 インタビューに答えるベンチャーキャピタリストは、製品をつくり、販売するだけだったシリコンバレーが、「この10年はユーザーを売っている」と表現する。サービスを無料で使う我々、お金を払っているのは広告主。言い換えれば顧客は広告主で、ユーザーは商品だ。どれくらい画面にくぎ付けにできるか? どれくらいユーザーの人生をもらえるか? 「人々を“先物”として取引する」マーケット。我々はみな、このことを知識としては知っているが、闘い方となると皆目見当がついていないのかもしれない。

 スマホを見るたびに、何か新しい情報があるかもしれないと思ってしまい、スクロールがやめられない。テクノロジーを生み出した張本人で、裏側で何が起こっているかすべて知っているにも関わらず「自分を止められなかった」と吐露する人もいる。「人とつながりたいという欲求は、ドーパミンの分泌に直結している」「幻想にすぎない完璧さを求めて、自分の人生を編集する」。SNSを日常的に使う人には、胸に刺さるだろう言葉の数々。現実に対する共通認識が持てなくなっているという指摘はおそろしい。ネット上では、一人一人がその人向けに計算された異なる“現実”を見ているからだ。

 スマホの使用時間を記録するアプリを入れてみると、隙間時間に見ているつもりが、「こんな長時間!」と驚く人は多い。ドキュメンタリーの最後に、業界のプロがさまざまな対策を指南してくれている。その中に「時間を予算化する」という言葉があった。スマホに向かう時間を把握したら、その価値に見合うものかを再考してみるのも悪くない。

text by coco.g