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軽い男じゃないのよ 【ネトフリさんぽ④】

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 男性にとっては「日常」になっていることが、女性にとっては不快。その意識の溝は、差別やセクシャル・ハラスメントという形で今も多くの問題を生んでいる。その溝に気付くことができず、「悪意」のないまま差別する側に立っている男性も少なくない。『軽い男じゃないのよ』(2018年・フランス、監督:エレオノール・プリア)は、そこに一撃を食らわせた作品だ。女性には痛快なコメディ、男性には悪夢かもしれないが、悪夢だと思えるなら理解し合えるということだ。

 作家のバルザックや画家のドラクロワ、詩人のアポリネールなど多くの著名人が眠るパリの「ペール・ラシェーズ墓地」。ラシェーズ「神父」の墓地だが、主人公のダミアンはある日、歩道に立つこの標識にぶつかって転倒。起き上がると標識が「メール・ラシェーズ墓地」、つまりラシェーズ「神母」墓地になっている。そこから世界は逆転。職場では女性の上司が彼の企画を却下し、カフェでは女性店主がイスラム教徒の「男性」が頭にかぶっている「ヒジャブ」をけなして「出ていけ」と罵詈雑言。街を歩けば、女性たちがダミアンの容姿を冷やかす。

 すべては現実の裏返し。結末は観客を“放置”するフランスらしさ。この“放置”の重苦しさを支える1時間38分だ。

text by coco.g