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再生の歩みを描く「7月22日」  【ネトフリさんぽ⑥】

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 米同時多発テロから20年。今月は特に「911」関連の報道や記事が多い。新型コロナウイルスとの闘いに四苦八苦する世界は、まだまだテロの脅威からも解放されてはいない。「722」は、2011年7月22日のノルウェー連続テロ事件の日。事件とその後の苦悩を描いたのが『7月22日 再生の歩み』(2018年、ポール・グリーングラス監督)だ。

 この日、ノルウェーでは首都オスロの行政庁舎が爆破され、続いて湖に浮かぶ小さなウトヤ島でも銃乱射事件が起きた。島では多文化共生の未来を語り合う若者のサマーキャンプが行われており、水に囲まれた場所で逃げ場を失った若者たちが、警官に偽装して島に入った一人のテロリストに次々に銃殺されていった。連続テロで77人が死亡している。

 この事実に基づいた作品では冒頭、庁舎の爆破に関係機関が気をとられている間に、島での惨劇が進行する様子を描いているが、重心はもっぱら事件の後にある。極右思想を持つ犯人、ブレイビクが冷酷に動機を語り、多くの被害者とその家族はひたすら苦しみ、再生への長い道のりを歩く。何もかもが「事件前」には戻らないが、それでも憎しみを未来への原動力に変えようと努力する人々の静かな闘志がじわじわと伝わってくる。

 この作品と同じ2018年、『ウトヤ島 7月22日』(エリック・ポッペ監督)という映画が公開されている。これは銃乱射があった72分間を再現、森を逃げる若者の視点でテロの恐怖をそのまま観客に手渡すような作品だった。被害者にとって、事件はどれだけ長い時を経ても「終わらない」。722も911も、そしてテロに限らず、考え続け、生き続ける人々の勇気の一部が、ここに垣間見える。