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『シン・ゴジラ』に続いて、舞台を現代社会に置き換えて再構築した『シン・ウルトラマン』【映画コラム】

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 では、この映画は面白くないのかといえば、決してそうではないのだから困ってしまう。

 例えば、カラータイマーがないところに違和感はあるものの、ウルトラマンの造型はなかなか美しいし、スペシウム光線や八つ裂き光輪の使い方も面白い。

 また、冒頭の「ウルトラQ」へのオマージュをはじめ、細部に見られるオリジナルへの敬意、ウルトラマンと禍威獣の対決シーンに流れる宮内國郎の音楽、そしてラストの処理などは、自分のようなオールドファンにはたまらないものがある。

 庵野は自分と同世代だから、子どもの頃の「ウルトラマン体験」には共通するところが多いと思う。だからこそ、この映画を見て、分かるぞというところと、そうじゃないだろうというところが相半ばして、複雑な思いにとらわれるのである。

 何だか、勉強が出来て理屈っぽい同級生の研究発表を見せられて、羨望(せんぼう)と反発を同時に抱くような、妙な気分になった。

(田中雄二)

(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ