カルチャー

ラビアンローズ、十和田の旅 【あなたをエスコート 幸せになる旅コラム#2】

 

 夏本番です。あなたに「バラ色の人生」を与えてくれる(かもしれない)青森県十和田市の旅を紹介します。「十和田」と聞くと秋田県との県境にある全国区の観光地「十和田湖」や「奥入瀬渓流」を思い浮かべるかと思いますが、今回は十和田市街地の旅をエスコートします。

 十和田市の中心部は「日本の道百選」に選ばれた官庁街通り(駒街道)を軸に、碁盤の目状に整備されています。春は桜、冬はイルミネーションで彩られ、馬の産地であった十和田市らしく、馬の像や蹄鉄(ていてつ)なども飾られています。十和田市では、官庁街通りをひとつの美術館として見立て、その中核施設が十和田市現代美術館となっています。

ファット・ハウス(左)、ファットカー、共にエルヴィン・ヴルム 作
ファット・ハウス(左)、ファットカー、共にエルヴィン・ヴルム 作

 官庁街通り沿いの広場には、アート作品が次々と現れます。十和田市現代美術館の駐車場に車を止めたら、館内に入る前に広場の作品を鑑賞しましょう。ぶくぶくと太った家や車、一目で草間彌生(やよい)さんと分かる作品、アメリカ映画で登場しそうな巨大なゴースト。共通しているのは、とにかくかわいい。素晴らしい美術館の紹介はネタバレになるのでカットします。みなさんが十和田市を訪問して楽しんでください。

 十和田市のグルメといえば、2014年のB1グランプリで優勝した「バラ焼き」が有名です。十和田市では戦後から親しまれていたバラ焼き。牛のバラ肉とタマネギをしょうゆベースの甘辛いタレで焼いたシンプルな料理ですが、これが実に奥深いのです。

十和田バラ焼きゼミナール代表の畑中宏之さん
十和田バラ焼きゼミナール代表の畑中宏之さん

 市民団体「十和田バラ焼きゼミナール」の代表、畑中宏之さんと「司 バラ焼き大衆食堂」で夕食を共にすることにしました。宝塚歌劇団のような衣装で登場した畑中さん。よく見ると、大衆食堂の従業員もフレンチレストランのような正装。まるで漫画「ベルサイユのばら」のような姿。ん? バラ? そう! バラ焼きとひっかけているんです。

④

 鍋に敷かれたタマネギ。よく見ると、すべて繊維に対して直角にカットされています。こうすることで、タマネギが極限まで甘くなるそうです。そして鍋の中央に集約されているバラ肉。タマネギに十分火が通ってから肉を焼く、秘伝「タワー焼き」!

 青森の野菜というと、まずはニンニクが思い浮かびますよね。全国で生産されるニンニクの2割が十和田市産。地元のニンニクをたっぷり使ったバラ焼きゼミナール公式のタレ「ベルサイユの薔華(ばか)ったれ」で炒められたバラ焼きは、舌から脳にうま味の信号を送り続けてくるのです。青森県産のスライスした長芋と一緒に食べると、うま味が脳内に渋滞していて、白飯が止まりません。

 お店を出るとき、従業員が一斉に「ラビアンローズ!」と声をかけてくれました。日本語訳すれば「バラ色の人生を!」ということ。そんな言葉をかけられたことは生まれて初めてです。訪れる人を幸せにしてくれる十和田の旅、いかがですか。

【旅人略歴】
エスコートK
…数十年前、旅程管理主任者の1期生として、国内外のツアーをエスコート。現在は生活情報誌の編集長だが、旅の取材だけは自らのカメラを手に、こっそりとデスクを離れ出掛けている。