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知的障害のない障害「ASD・自閉スペクトラム症」とは?

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ASD・自閉スペクトラム症とは

日本では昨今「発達障害」が世間の注目を集めています。
芸能人の方の中にも自身が発達障害であることを明らかにする方もいらっしゃいます。
それだけ世の中に認知されている言葉であり、かつ、関心度の高い言葉なのでしょう。

 発達障害と言えば、自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)の3障害を指し示す言葉ですが、これらの共通点は「先天的な脳の機能障害」であるということは分かっていますが、決定的に脳のどこがどうだということは解明されていません。

さて、今回ご紹介する「ASD・自閉スペクトラム症」とは、今まで広汎性発達障害、高機能自閉症、アスペルガー症候群などと呼ばれてきた障害を総じている言葉です。
簡単に言えば「知的障害のない自閉症」ということです。

ASD・自閉スペクトラム症の3つの困難

知的障害があってもなくても「自閉症スペクトラム」と診断された方は、以下の3つの困難を併せ持っています。
・社会性の障害
・コミュニケーションの障害
・創造性の障害

これら3つが共存しているために、以下のような困難が二次的・三次的に起こり得ます。
・他人の顔の表情で思いを汲み取ることの困難
・抽象度の高い表現の理解の困難
・冗談や慣用句などの比喩表現の理解の困難
・突然の予定変更への対応困難
・セルフマネジメントの困難                など

 この他に、ASD・自閉症スペクトラム症の方に五感のうちいずれか、あるいは複数に渡っての過敏や鈍感も併発することが多いのも事実です。

正しく診断されないケースも

病院へ行っても診断が下りなかったり、誤診されたりするケースは医学が進んだ現在でさえも後を絶ちません。
それは、ASD・自閉スペクトラム症の原因が未だ解明されていないからです。

また、ASD・自閉スペクトラム症自体は先天的な障害であるにもかかわらず、幼少期で発見されないまま成人期を迎えたり過ごしたりしている人もいます。
それは、知的な面が長けているため、先の3つの困難を幼少期からずっと知的な面で補ってきたご本人の努力の賜物ということができるでしょう。

また、成人してからも二次・三次障害がない、または軽度で済んでいるケースもあります。
それは、周囲の人々や人間関係などの生活環境の中で、本人をサポートしながらともに暮らしていくことを実践できているケースです。
お互いが理解しあい、認め合いながら対等な立場で生きていくという環境が整うことで、本人が持ち合わせている障害の程度は変化しないものの、生きやすさを保障することにもなるのです。

私たちの周囲にも「言葉だけでは伝わりにくい」「コミュニケーションが不得意かのかも」などと感じる人がいるかもしれません。
その際は障害を疑う前にまずは「その人にとって分かりやすい伝え方は何か」「どういうコミュニケーション手段なら良いのか」などということを考えてみてください。
それこそ私たちが今すぐできることなのです。

<筆者略歴>

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鈴木 あづみ:個別療育・児童発達支援管理責任者

鈴木 あづみ:個別療育・児童発達支援管理責任者 高校生時、「ともにゆたかに」のキャッチフレーズのもと、障害児の余暇活動の充実を目指した学生ボランティアグループに入会し活動。そこで現在の原点を築く。大学在学中より教師になる夢の実現のため大手進学塾の講師を経験。小学生から高校生までの集団および個別指導を担当。

大学卒業後すぐに東京都の公立小学校に勤務。3年間の通常学級担任の後、10年間特別支援学級の担任を務める。その頃療育の存在を知る。療育を学ぶため教職を辞し、民間の療育機関で応用行動分析を用いた療育を学び、児童発達支援管理責任者として勤務。その後、働き方ややりたい方向性を見直すために療育機関を辞し、2015年2月「個別療育塾ありあんち」を開設。

(鈴木 あづみ:個別療育・児童発達支援管理責任者)

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