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【インタビュー】『栞 Shiori』三浦貴大「人に尽くす行為は自己満足」 経験者だからこそ語れる医療や救命に対する思いとは

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 理学療法士の雅哉が、死に直面する患者の前で無力感にさいなまれながらも、自分に何ができるのかを模索し、希望に向かって歩いていく姿を描いた映画『栞 Shiori』が10月26日から公開される。元理学療法士の榊原有佑監督が実体験をベースにした本作で主演を務めた三浦貴大が、作品や役に込めた思い、経験に基づく医療や救命に対する考えなどを語ってくれた。

理学療法士を演じた三浦貴大

-病院で起こる生と死の物語は、リアル故に想像以上にヘビーでしたが、三浦さんはどのような感想を持ちましたか。

 確かに内容は重いですし、雅哉にたくさんの悲しい出来事が降りかかってきます。でも、僕も監督も、そういう悲しい出来事も、生きている人間がどんどん未来に形を変えてつなげていく希望の話として捉えて取り組んでいました。

-オファーをもらったときの率直なお気持ちは?

 かなりヘビーな内容なので、監督がどういう思いで作ろうとしているかを知りたくて、一度お会いさせていただきました。そのときに、理学療法士は一般的にリハビリをサポートする人というイメージがあるけれど、それだけではなく、医療に携わり、命と向き合う仕事であることや、「これまでの自分の経験を伝えたい」という言葉を聞いて、ぜひ、監督の心を表現したいと思いました。

-三浦さんは理学療法士に対してどういうイメージを持たれていましたか。

 大学ではスポーツ健康科学部に在籍していたため、知り合いに理学療法士がたくさんいるので仕事の内容は理解していました。ただ今回、理学療法士にとって、人と関わるスキルがとても大事であることを知りました。命って“生き死に”ではなくて“生活”ですよね。生活が苦しくて、死ぬよりつらい経験をしている人もいるじゃないですか。だから、生活を守る仕事はとても意義があると感じました。

-在学中は精神保健福祉士を目指していたそうで、医療に携わっている点で雅哉にリンクしますね。

 監督は、僕が精神保健福祉士の勉強をしていたことや、ライフセービングをやっていたことから、医療活動に理解があると思ってくれたみたいです。後は、今まで演じてきた役のイメージなどからオファーをしたとおしゃっていました。

-三浦さんも、もともと人に尽くす精神を持っていらっしゃるのですね。

 そうですね…。でも、人に尽くすというのは「自己満足」だと考えています。その言葉は悪い意味で使われることが多いですけど、僕にとっては原動力で、まず自分が満足して、その結果として人の役にたてばいいなと思いながら活動していました。なので、人に尽くしたい欲求を満足させたい気持ちが強ければ強いほど、いい救助者、いい理学療法士になれると信じています。

-雅哉も患者に寄り添う素晴らしい理学療法士ですが、人物像をどう解釈して演じましたか。

 雅哉は、自ら物語を回すのではなく、身の周りで起こる物語を受け止める人です。自ら放ったり、何かを受けて返したりすることがなく、スポンジのようにひたすら吸収する役どころは初めてだったので難しかったです。何かを放つ方が楽なのかもしれません。ただ、自分と雅哉の気持ちは近いところにあるので、雅哉が言われたことや、目の前で起こっていることは僕自身も一緒に受け止めている感じがして、すごく珍しい体験をさせてもらいました。

-現場の雰囲気はいかがでしたか。

 とても明るかったです。大分県での撮影でしたが、みんなでご飯に行ったり、部屋で飲んだりしていました。どういう作品でもコミュニケーションを取って、明るい現場であった方がいいと思っているので、作品に引っ張られて必要以上に暗くならずにすんでよかったです。