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【インタビュー】いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」向井理「挫折の連続だった」劇団☆新感線への思い「ここでしか見られない光景がある」

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 2021年劇団☆新感線41周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」が、9月17日に開幕する。本作は、中島かずき書き下ろし、いのうえひでのり演出、中村倫也主演による伝奇時代劇。「キツネの子」を名乗る陰陽師・安倍晴明と、陰陽師に化けた九尾のキツネとの手練手管の頭脳戦を描く。陰陽師宗家の跡取りでありながら、九尾の妖ギツネに体を乗っ取られた賀茂利風を演じる向井理に、「髑髏城の七人 ~Season風~」(以下、「髑髏城」)に続いての出演となる劇団☆新感線への思いや、本作への意気込みを聞いた。

賀茂利風役の向井理

-脚本を読んで、本作についてどのような印象を持ちましたか。

 今回、(中島)かずきさんが、いわゆる“当て書”をしてくださったのですが、僕が「髑髏城」に出演したときに、「こういう悪役をやらせたい」と思っていただいたことから、このような役になったと聞いています。「髑髏城」のときも、途中からは悪役の要素の強い役でしたが、今回はまた違ったパターンの悪役です。アクションよりも頭脳戦がメインになっていて、(中村)倫也くんが演じる安倍晴明と僕が演じる九尾の化かし合いが描かれています。かずきさんのロジックな部分とネタの部分がしっかりと入った、頭を使う台本だと思いながら演じています。

-劇団☆新感線の作品には、今回が2度目の出演となりますが、それについてはどんな思いがありますか。

 僕はこれまで、同じ演出家さんとお芝居をしたことがなかったんです。なので、やはり再び呼んでいただけるということはすごく光栄なことだと思います。増してや、新感線ですし、断る理由はなかったです。呼んでいただけるのは、きっと何かしら面白がってくれたんだろうと思いますので、頑張りたいと思います。

-向井さんにとって新感線の舞台の魅力とは?

 舞台の緊張感は舞台でしか味わえないですし、終わった後の達成感というのもまた、舞台でしか味わえないものなので、僕にとってそれ自体が貴重なことですが、特に新感線の場合は、カーテンコールでのお客さまとの一体感が格別です。僕はこれまで(舞台では)エンターテインメント性の強い作品にあまり出演してこなかったので、「髑髏城」は初めての経験ばかりで、挫折の連続でした。これでいいのかずっと悩みながら、必死に食らいついて、ただ一生懸命に演じた作品でした。もちろん、今回もまた大変な稽古になるだろうと思いますが、ここでしか見られない光景があると思うので、そういう意味でも楽しみです。

-向井さんの演じる賀茂利風は、“九尾に体を乗っ取られた陰陽師”という複雑な役どころですが、現時点では、どんなところを意識して役を作っていこうと考えていますか。

 本当に難しい役です(笑)。利風として存在しているシーンもあり、完全に九尾に乗っ取られている状態のシーンもあって、さらに本当は九尾なのに利風だとだましているというシーンもあります。なので、僕は勝手に「ドラゴンボール」の魔神ブウをイメージして(笑)、第3形態ぐらいまであるキャラクターなんだと考えて、それをまずは使い分けすることからスタートしようと思っています。キャラクターの使い分けを整理していくと、膨大なせりふも入りやすくなるのかなと思います。

-ところで、昨年は新型コロナによって、出演予定だった舞台「リムジン」が公演中止となってしまいました。全公演中止は、役者としてもあまりない経験だと思いますが。

 コロナ禍では中止となってしまった公演はたくさんありましたが、僕自身も舞台だけでなく幾つか仕事がキャンセルになりましたし、いろいろと考えるところもありました。きっと(「リムジン」の演出家の)倉持(裕)さんは、僕の比でないほどショックだったと思いますが。

-そうした経験があったからこそ、今回の舞台への思いがより強くなるということはありますか。

 とにかく無事に完走したいという思いは、これまでとは違った重みを持ってあります。そのためにも、稽古場での感染対策もかなり気をつけてやっていますし、キャスト、スタッフを含めて徹底して対策をしていこうという意識は強く持っています。見に来てくださるお客さまのためというのはもちろんのこと、キャスト、スタッフの皆さんのためにも、千秋楽まで無事に乗り越えたいです。