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濱田龍臣、ターニングポイントは“ウルトラマン”「役者をやっていこうと強く思った」【インタビュー】

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 2006年に子役としてデビュー、大河ドラマ「龍馬伝」で坂本龍馬の幼少期を演じ、16歳で史上最年少のウルトラマンとして「ウルトラマンジード」の主人公にも抜てきされた濱田龍臣。近年は、舞台にもその活躍の場を広げ、「大地」(20年上演)や「更地」(21年上演)などで熱のこもった演技を見せてきた。6月4日から開幕する「ようこそ、ミナト先生」では、舞台となる山あいの町・日永町で生まれ育った青年・野村伊吹を演じる。濱田に同作への意気込みや俳優業への思いなどを聞いた。

濱田龍臣(ヘアメーク:高野雄一/スタイリスト:前田順弘) (C)エンタメOVO

-出演が決まったときの心境を教えてください。

 最近は舞台のお仕事を頂く機会が増えましたが、今作の出演もすごくうれしい気持ちと身が引き締まる思いがありました。今回、僕は20代前半の青年役ですが、20代ならではの葛藤や田舎のコミュニティーの中での若者の立場をうまく表現できたらと思っています。

-今回、濱田さんが演じる伊吹という役はどんなキャラクターですか。

 おちゃらけていて明るくて好青年で、ガソリンスタンドでバイトをしている気のいい男の子というイメージですが、若者ならではの広いアンテナを持っていて、そこで拾った情報に対し、一つ一つしっかりと反応しています。情報屋というほどではないですが、町の人たちのことをすごくよく知っていて、皆の気持ちも分かっています。だからこそ、よりよい町になってほしいと思っているし、そのために自分に何ができるんだろうと考えてもいる。そんな人物だと思います。

-共感できる部分はありますか。

 広い視野を持とうとしているところは似ていると思います。自分も現場にいるときには、周りを見て、視野を広く持つことを常々意識しているので。

-本作は、相葉雅紀さん、松平健さんをはじめ、豪華な共演者がそろっていますね。

 相葉さんとは、これまでバラエティー番組では何回かお会いさせていただいているのですが、お芝居をご一緒するのは初めてなので、ドキドキしています。松平さんとも掛け合いが多いので、負けないぐらいの存在感を出せるように頑張らないといけないと思います。

-最近は舞台にも積極的に出演していますが、映像作品と舞台作品で演じる上での違いを感じることや意識していることはありますか。

 特別に意識していることはありません。ですが、全体を通してのキャラクターの感情の波を捉えることは大切にしています。例えば、自分が登場しないシーンでも、(台本に書かれていないところで)自分が演じているキャラクターが何をして、何を考えているのかということは考えるようにしていますし、他のキャラクターがどんな感情の波を持っているのかも理解しようと思っています。そうすると、キャラクター同士の感情がぶつかるポイントを見付けやすいんです。感情のぶつかり合いは映像でも舞台でも特に見せなければいけないポイントだと思うので、そこを見つけて意識して演じるためにも、感情の波は重要になると思っています。

-舞台の楽しさはどんなところに感じていますか。

 やはり生の反応が感じられることだと思います。今はコロナ禍で声を出すことは難しいですが、「大地」のときには笑うタイミングで拍手が起きたり、千秋楽ではスタンディングオベーションをしていただいたりして、お客さまたちの気持ちがダイレクトに伝わってきました。それは舞台の最大の魅力だと思います。

-子役でデビューしてから16年になりますが、お芝居の面白さに気付いたのはいつ頃でしたか。

 高校生ぐらいの頃でした。子役の頃は、お芝居が面白いというよりは、現場に行っていろいろな人に会えることが楽しかったんだと思います。ですが、年を重ね、10代後半になって、「自分は、今、濱田龍臣としてではなく、この役としてこの世界に存在しているんだ」ということを確信し始めると、面白く感じるようになりました。演じていると、台本の中の世界を、スタジオの天井から俯瞰(ふかん)で見ている気がするんですよ。「この人、今、怒っているんだよね」「悲しいんだね」と、どこか客観的に見ていると、皆が思い思いに生きていて面白いなと感じるようになりました。

-今、振り返ってみて、濱田さんにとってのターニングポイントは?

 それはやはり「ウルトラマン」の存在が大きかったと思います。小さい頃からの夢でしたし、自分がウルトラマンだということを実感してからは、自分の子どもの頃を思い返すようにもなりました。ショーにも出演させていただいていましたが、そのときに、子どもたちがとにかく楽しそうにしているということだけでなく、その子どもたちを見て幸せそうなお母さんやお父さんがいらっしゃることに気付き、なんてすてきな時間なんだろうと心底思いました。きっとその時間は、子どもたちにも、お母さんやお父さんたちにもすてきな思い出になると思うんです。そういう幸せな時間を提供し続けていくためにも、このまま役者をやっていこうと強く思ったのが「ウルトラマン」でした。