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若月佑美、デビュー10年で感じた変化「人を頼ることが増えた」【インタビュー】

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-俳優として仕事をスタートした時と今とでは、ご自身の中ではどのような変化がありましたか。

 まず、役への向き合い方は大きく変わり、自分が演じる役の味方でありたいという思いが強くなりました。例えば、凶悪犯を演じるときは、どこかで、人を殺すことや、演じる役に対して「それはちょっと…」と思ってしまったときがあったんです。嫌われ役や犯人役は、絶対に視聴者の方は嫌いになりますよね。ですが、そうなったとき、演じる俳優しかその役に寄り添える人はいないんです。だからこそ、その人物がどうしてそういう行動を取ったのか、理由を考えるようになりました。

 それから、いい意味で、人を頼ることが増えました。これまでは、自分の役について人に聞くことに申し訳ない思いがあったんです。自分の役のことぐらい、自分で考えなくちゃいけないと、どこか思っていて。ですが、今は、聞くことで知れることも多いと気付いたので、臆さずに「私の役のこのせりふって、どういう気持ちで言っていると思いますか」と先輩たちに聞くことができるようになりました。

-思いが変わるきっかけがあったんですか。

 いろいろとありましたが、特に大きかったのは、「アンラッキーガール!」(21)というドラマでした。彼氏役を板垣瑞生さんが演じてくださったのですが、私が演じた香が彼氏を振るというシーンのせりふが、「どうして別れる彼氏にこんなことを言うんだろう」と不思議だったんです。それを、板垣さんにポロッと話したら、男性として見たらどう聞こえるかを教えてくれました。若い彼氏という設定で、実際の年齢も板垣さんの方が若かったので、「若い男の子にこの言葉を言うとどう感じる」「こういうせりふを言って別れを切り出されたら、こう感じる」と話してくれ、私には気付かない視点だったと驚いたのを覚えています。そのときから、いろいろな年齢の方、そしていろいろな立場の方に聞くことで、自分にはない考え方も知ることができると思うようになりました。なので、最近は、いろいろな方に聞くようにしています。

-今後の目標は?

 いつかは人を助けられる俳優になりたいなと思います。もちろん作品を見ていただいてお客さまの心を軽くできたらという思いもありますが、私が先輩方にアドバイスを頂いたり、助けていただいているように、私もお芝居で仲間を支えてあげられる人になりたいです。

-最後に読者にメッセージを。

 壮大で美しい世界観の作品です。舞台の基となるアニメの原作コミックスは、シェークスピアの物語をイメージして作られているということもあり、心に響く、ハッとさせられるせりふもたくさん出てきます。ですので、ファンタジーの世界に飛び込もうという気軽な気持ちで来ていただいて、何か一つでも心に言葉を残して帰っていただけたらと思います。見どころは満載過ぎるぐらい満載です。ぜひ劇場で一緒に世界を共有していただけたらうれしいです。

(取材・文/嶋田真己)

舞台「薔薇王の葬列」 (C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会

 舞台「薔薇王の葬列」は、6月10日〜19日に都内・日本青年館ホールで上演。
公式サイト https://officeendless.com/sp/baraou_stage/