-カメラが回ってなくても空気が違ったのでしょうか。
山田 そうですね。「何か怒っているのかな?」みたいな(笑)。でも、ホーエンハイムでいるときは、気軽に話し掛けられるので、役への没入感というところがとても勉強になりました。あと、フラスコの中の小人の声も内野さんが吹き替えをされていて、隣の楽屋だったときに、発声練習しているのが聞こえてきてすごいと思っていました。
内野 (発声練習で)すごく遊んでいましたね(笑)。
山田 (撮影を)楽しんでくださっているのかなって。もちろん難しいこともたくさんあったと思いますが、どうやったら面白くなるんだろうというのを考える姿勢に、役者として経験の差をすごく感じました。
内野 そういいながら自分の方もすごく没入していた気がするけど(笑)。俺から言わせてもらうと。
山田 本当ですか? 気付きませんでした(笑)。
-カメラが回っていなくても役になるというのは、普段の撮影でも重視しているのでしょうか。
内野 というより、“お父様”というキャラクターは非常に口数が少なく、感情を消してしまっているようなところがあるので、そういうキャラクターを演じるときに、収録直前まで普通に話していたら役に入れないんですよね。そんなに器用ではないので(笑)。そのキャラクターが持つ居住まいや呼吸というのを常にイメージしていないと、薄っぺらくなってしまうじゃないですか。なので、自然と人を寄せつけなくなってしまっているのではないかと思います。
-最後に、ファンへメッセージをお願いします。
山田 ものすごいクオリティーで再現されていますし、生身の人間が演じることで、人間が持つ温かい部分や冷たい部分というのがとても人に伝わりやすい映画になったと思っています。キャラクターのバックグラウンドも丁寧に描いていますし、それぞれが持つ強さというものを感じていただければと思っています。
内野 この映画はオールCGということで、いろいろなところでCGのことばかり取り上げられてしまっていますが、この作品で描かれているのは平和や戦争の問題、人種間の問題など、現実世界で起きている変わらない人間の愚かさであるとか、人を元気にさせるポジティブなメッセージがたくさん込められています。大人でも楽しめるファンタジー作品になっているのではないかなと思います。
(取材・文/丸山有咲)