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岡山天音が掲げる信念「楽しいと思いながらやっていても行き着ける場所はいっぱいある」【インタビュー】

 2009年にTVドラマ「中学生日記」の転校生シリーズ「少年は天の音を聴く」で俳優デビューした岡山天音。以降、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」など、映画やドラマに多数出演し、映画『キングダム2 遙かなる大地』では尾兄弟の兄・尾平役を演じた。8月8日から上演される、三谷幸喜・作のパルコプロデュース2022「VAMP SHOW ヴァンプショウ」には、5人の吸血鬼の一人、島寿男役で出演する。岡山に本作への意気込みや俳優業への思いを聞いた。(コロナウイルスの影響により開幕が延期。詳細は公式サイトで要確認)

岡山天音(スタイリスト:鹿野巧真/ヘアメーク:SUGANAKATA(GLEAM) (C)エンタメOVO

-コメディーに出演するのは初めてだそうですが、ほかの作品に出演するときと気持ちの面での違いはありますか。

 作品に臨む気持ちには違いはないです。ただ、台本で決められた枠からはみ出していくことをあらかじめ考えて作られている台本だと思うので、即興的なお芝居が増えるんじゃないかなという予感はあります。5人の吸血鬼役のキャストたちが突発的な何かを起こすことで、新しい世界が広がっていくと思うので、そこは楽しみです。きっとスリリングな時間になるんじゃないかなと思います。

-三谷さんがこの台本を書いてから30年たっていますが、初演・再演を再現するように作るのか、それとも初演とはまた違うものになるのかというところも楽しみです。

 部分的には初演から変わっているところもありますが、ベースは当時のものを踏襲しています。ただ、初演も再演も、ずっと舞台で活躍されていた方たちが集まって作られた作品で、ビジュアルの凸凹感があり、見た目からもはっきりとキャラクターが見えていました。今回は、映像を中心に活動しているキャストが多く、フォルムも今時の若者っぽい俳優が集まっているので、同じものにはならないと思います。やはり現代版という風合いのものになると思っています。

-今回、岡山さんが演じるのは吸血鬼という役柄です。

 (劇中の)時代は、現代ではありませんが、それでも日本で実生活を送っている若者という生々しさがある5人組です。なので、吸血鬼とはいっても、ファンタジーの世界観で描かれた吸血鬼ではなく、「もしも日本のどこか片隅に5人の若い吸血鬼がいたら」という想像のもとに描かれたようなキャラクターです。そのファンタジーと現実のギャップは、とてもシュールで面白い。(演出の)河原(雅彦)さんから、この作品はコメディーだけど、太陽の光を浴びることができないとか、血しか飲めない吸血鬼であるということを深く掘り下げて、(頭の中に)持っておいてほしいとお話しされました。若者たちがファミレスで雑談をしている感覚で「人の血を吸う」という話をしているというのが面白いし、この作品ならではの魅力だと思います。

-映像作品で活躍している岡山さんですが、舞台に出演する際に心掛けていることはありますか。

 発声や体でどう表現するかということはもちろんありますが、舞台と映像の違いというよりは、作品ごとの違いの方が大きいように、今、この作品に携わっていて感じています。ドラマでも作品によって体感は全然違いますし、舞台でもシリアスな作品とコメディーとでは、違う乗り物を操縦しているかのように違います。例えるなら、これまでの作品は乗用車だったのに、今は、ガンダムに乗り代わっているような感覚です(笑)。公演が始まる頃には、スポーツカーぐらいに戻さないといけないかもしれませんが、今はまだ稽古が始まったばかりなので、試しにガンダムに乗っています(笑)。なので、今、すごく新鮮です。僕はこれまで舞台でアドリブもしたことがなかったので、これぐらいでいいのかなと試しながら、表現している感覚があります。

-では、舞台ならではの魅力はどこに感じていますか。

 スリルかもしれないですね。映像でも舞台でも、どちらも緊張はするのですが、舞台に立つときの方がよりスリリングな感触があります。

-今回は、アドリブが多いということなので、よりスリルがあるのでは?

 そうですね。どうなるんですかね、アドリブ(笑)。もちろん、確たるルールや美意識があった上でのことですが、それでもある種、自由度が高い作品だと思うので、自分でも、まだどんな形になるのか分かりません。ですが、劇中の吸血鬼5人組のように、キャストたちもお互いに信頼し合って、手を取り合って濃い絆が作れたらと思います。