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『ファイナルファンタジーX』が歌舞伎に 尾上菊之助「お互いの文化を発展させつつ、日本を元気にできたら」【インタビュー】

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-前後編を観劇するとなると、1日がかりですね。

 そうですね。ですので、お客さまに快適に過ごしていただくために,いろいろな施策を制作チームと話しています。また、IHIステージアラウンド東京は、8メートルの巨大スクリーンがあって、そこにゲームの映像を映させていただこうと思っておりますので、まるで「ファイナルファンタジー」の世界にいるような体験をしていただけるのではないかと思います。物語を楽しんで、映像美を楽しんで、そして休憩時間も楽しんでいただきたいと思っております。

-本作もそうですが、「風の谷のナウシカ」など菊之助さんは新作歌舞伎にも力を入れていますが、新作を作ることの苦労、そして楽しさは?

 歌舞伎化するに当たって、元の世界が壊れてしまうのが、私が一番避けたいと思っていることです。歌舞伎だからと、自分のルールに寄せてしまうことがないよう、お互いのよさを大事にし、原作の持ち味が壊れないように気をつけながら作っています。歌舞伎の作品を生み出すことに、とても大きなやりがいを感じていますし、携われることに感謝しています。新作歌舞伎が古典となり、再演を繰り返すことを目指しているので、作ったときよりも再演がかなうときが一番の喜びでもあります。

-改めて、本作の見どころを。

 ゲームの名作『ファイナルファンタジーX』を実際に人が演じることで、新たな側面が見えてきたり、物語の背景にある社会問題やテーマが、より身近に感じられると思います。物語は、「シン」という強大な脅威におびえながら暮らしてきた人々の下に、主人公であるティーダがやって来ることで、その世界を、人々の心を変えていくストーリーです。そこでは何ごとも諦めない心や人の成長が描かれています。今回の歌舞伎化に当たり、各キャラクターの物語を余すことなく描いているので、皆の成長を見守っていただきたいですし、ティーダとユウナの関係性にも注目していただきたいです。このほかにもシーモアの親子関係など、見どころも盛りだくさんで、壮大な作品になっています。きっとお心に残るストーリーになっていると思いますので、ぜひご期待いただければと思います。

(取材・文/嶋田真己)

「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」

 「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」は、2023年3月4日~4月12日に、都内・IHIステージアラウンド東京で上演。
公式サイト https://ff10-kabuki.com