閉店中の「子ども食堂」に無償で場所を提供 新型コロナ対応で不動産会社が申し出

豊島区子ども食堂に無償提供されている「コマワリキッチン」。
豊島区子ども食堂に無償提供されている「コマワリキッチン」。

 肉眼では見えない新型コロナウイルスはこれまで覆い隠されていたさまざまな社会問題を浮き彫りにしている。日本の医療体制の想像以上のもろさは最たるものだ。一連の「医療改革」が進められた結果、感染症重症者を受け入れる病床がこれほど不足するとは・・・。病床を“不良在庫”と同視する「改革」は、大事なネジが1本抜けているのではないだろうか。

 首都のトップが繰り返す「ステイホーム」の呼び掛けは、虐待や家庭内暴力で「ステイホームできない」子どもたちの存在を可視化し、「3密」防止の要請は、日々の栄養不足を「こども食堂」で補う大勢の子どもたちの姿をわれわれの目に焼き付けることにつながった。

 子ども食堂の活動に携わる人は「子ども食堂が必要でない社会を作ることが目的」という。全国に広がる子ども食堂の背景には日本社会の貧困問題が横たわっている。新型コロナウイルス拡大防止の学校休校、3密防止を確保できない小さなスペースのこども食堂の一時中止は、貧困家庭の子どもたちが必要な栄養を学校給食でとる機会や、足りない栄養を子ども食堂で補う機会を奪っている。子ども食堂協会によると、全国の子ども食堂の95%がコロナ防止対応で「閉店」に追い込まれている、という(5月1日時点)。

 「コロナ後の世界」を占う言説がいまや花盛りだが、コロナで浮き彫りになった、はっきり見えないままずっとわれわれの足元に横たわっていた「いま在る課題」に向き合うことなしには、空虚に響くだけだ。

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 空き家活用事業を展開する不動産会社ジュクトワン(東京)は5月8日から、空き店舗を活用して運営するシェアキッチン「コマワリキッチン」(豊島区南長崎2-3-3エクウス南長崎1階)を、現在閉店中の「豊島区子ども食堂」に無償で提供している。1日50~100 食のお弁当を200 円の低額で子どもたちにふるまう。

 無償提供を受けた日本子ども食堂協会の伊勢仁志代表は「同じ社会貢献したいという共通の思いが通じて、無償提供という形でご協力いただき大変うれしい」と話す。ジェクトワン代表取締役の大河幹男氏は「新型コロナウイルス流行により行動が制限されている中、何か社会に貢献したいと思いがあった」と語る。

 この事例以外にも業種、業界の垣根を超えた連携、助け合いの取り組みが、“コロナ苦境”を抜け出すため、全国でたくさん試みられている。これらの取り組みもコロナでくっきり立ち現れた日本の風景の一つといえるだろう。