ビジネス

残業短縮のために必要な優先順位の決め方

10179009286アイゼンハワーの法則

 今日の働き方では、複数の仕事を並行して進める、いわゆる「マルチタスク」が通常です。スムーズに仕事を進めるには、仕事の優先順位を正しく付けなければなりません。

 特に上司が部下に任せる仕事の優先順位付けは重要です。上司が優先順位付けを間違えると、部下に無駄な残業をさせてしまうことになるからです。

 仕事の優先順位を考える際に有効なのが、「アイゼンハワーの法則」(アイゼンハワーボックス)というフレームワークです。仕事を「緊急度」と「重要度」の2軸で整理するマトリックスです。0002

 ただし、実際にはこのように仕事の優先順位を簡単に付けられません。以降では、優先順位を間違いやすいケースなどを確認していきましょう。

 

 緊急度と重要度の罠

 緊急度は分かりやすい基準です。仕事には締め切りがあるため、締め切りが近い仕事の方が緊急度は高いという判断です。また、突発的な仕事が入れば、そちらが優先されやすくなるでしょう。

 また、重要度は仕事をする立場によって変わります。部下などの指示を受ける人は、上司に指示された順番が基本的に重要度の高さになります。部下は、前述の緊急度を意識しながら、上司の指示に従って仕事を進めることになります。

 よくある問題は、部下が勝手な判断をして、上司の指示を守らなかったり、緊急度を間違えたりすることです。部下は「やりたい仕事、やりやすい仕事」を優先したり、非効率な進め方をしたりすることがあるので、上司によるマネジメントが欠かせません。

 

正しい優先順位付けを難しくさせるもの
 1)上司のマトリックス

 上司は、前述した「アイゼンハワーの法則」に基づき、会社のマトリックス、部下ごとのマトリックス、自分(上司)のマトリックスを回しながら仕事の優先順位を付けています。0003

 上司は、会社のマトリックスを把握して優先する仕事を決め、それを部下に割り振ります。また、自分(上司)でやるべき仕事も行いますが、その中には部下のマネジメントも含まれています。

 このように、上司は会社のこと、部下のことを正しく理解していないと仕事の優先順位を付けることはできません。

 2)上司が会社の状況を正しく把握できていない場合

 上司が優先順位を間違えるのは、上司自身が会社の方針を理解していなかったり、これまでの自分の仕事の進め方や考え方に固執したりするためです。会社の方針を把握できなければ、優先事項の判断ができず、部下に適切な指示を出せません。

 また、部下はその仕事にどれだけの労力をかければよいのかも把握できていないため、必要以上の品質を求めたり、最低限の品質を下回ることで無駄な時間をかけてしまったりすることがあります。

 このような失敗を経験しても、上司がこれまでの仕事の進め方にこだわってしまうと、事態が改善されず同じ失敗を繰り返してしまうことがあります。

 3)上司が部下を正しく理解していない場合

 上司が部下の状況を正しく把握できていない場合も優先順位を間違えます。誰に仕事を頼むかの判断に迷い、部下に効果的に仕事を頼むことができません。

 このような場合、上司は自分で仕事を進めます。本来は部下に頼むべき仕事まで対応することになるため、全体のスケジュールが狂ってしまうのです。

4)上司が考え過ぎてしまう場合

 上司の中には、仕事に取り掛かる前に、一度、自分の考えを整理しないと動くことができないタイプもいます。確かに、複雑な仕事は事前に手順を練る必要があるでしょう。問題は、こうした上司は考えなくてもよいことまで考えていることです。

 何事もまずは考えてから行動するという上司は、自分が無駄に長い時間をかけている認識がありません。また、深く考え過ぎた結果、仕事を本来よりも難しく捉えてしまうこともあります。

 この結果、仕事の取り掛かりが遅くなり、締め切りまでの期間が短くなってしまう上、仕事の難度を過大評価するため優先順位を間違えてしまうことがあるのです。

 上司のマネジメントで部下の残業を減らす
1)部下に時間を意識させる

 仮に上司が優先順位を正しく付けたとしても、部下のマネジメントをおろそかにしていると部下の無駄な残業はなくなりません。

 部下の時間感覚を養うことが部下をマネジメントする上で重要なポイントです。例えば、就業時間が8時間の場合、8時間以上の価値を生む部下もいれば、そうでない部下もいます。その違いは、仕事に対して部下がどのような目標で取り組んでいるかです。

 上司は、全体の仕事を分解し、それぞれに目安となる業務時間を設定した上で部下に任せるようにします。これがうまくいかないと全体のスケジュールに遅れが生じることになります。

2)仕事の指示はわかりやすく

 上司にとって、あいまいな指示でも仕事の内容を理解してくれる部下は頼もしいものです。「この仕事、お願いね」と頼むだけで、ほぼ上司の求める内容で仕事が完了するのであれば、これほど戦力になる部下はいません。

 しかし、多くの部下は、無駄な時間をかけてしまいます。これを改善するには、上司は具体的な指示を出して部下に仕事を任せるようにします。「なぜ、その仕事が必要なのか」という理由も伝えることで、部下は仕事の意義を理解し、上司が求める質の仕事を行いやすくなります。

 3)やる必要のない仕事はやらない

 最後は、仕事量を減らす取り組みです。緊急度も重要度も低い仕事は、存在はしているものの、実際にはやめてしまったとしても、ほとんど影響がないものが少なくありません。

 また、「その日にやらなくてもよい仕事は、その日はやらない」というのも大切です。明日のために前もって仕事をすることは否定しません。しかし、明日のために仕事を前倒しし続けると、いつまでも“前倒し残業”を繰り返すことになってしまいます。

 こうした悪循環を防ぐために、上司は仕事の進捗を部下と定期的に共有しましょう。進捗が計画よりも進んでいるならば無理をする必要はありません。こうしたメリハリも残業を削減するために大切なことです。

 

筆者:日本情報マート

経営者の意思決定に役立つ情報を発信。金融機関にも提供。
また年間200件を超える調査も実施。
http://www.jim.jp/