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【コラム】度肝を抜かれたグーグルの海外オフィス

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 5月半ば、ヘンリー王子と米国出身で女優のメーガン・マークルさんのロイヤル・ウエディングに沸くロンドンに所用があり、数日滞在しました。幸いにも晴天が続き、太陽の少ない北の国には珍しいような、サングラスとノースリーブ姿の女性が目立ちました。ケンジントン宮殿の前は観光客であふれ、その界隈ではロイヤルファミリーの土産物を売る店が軒を連ねています。

 ホテルにチェックインした後、旧知の囲碁プレイヤーたちが働くグーグル内のディープマインド社を訪問しました。グーグルは、ユーロ圏を結ぶユーロスター発着駅前で新たに開発された地区にあります。囲碁の人工知能「アルファ碁」を開発したディープマインド社は、グーグルに買収されましたが、独立した存在としてビルの中に入っています。欧米の囲碁プレイヤーは、大半がコンピューターや数学、物理、化学系の人たちです。

 一昨年に訪ねた時は2フロアを使用していましたが、社員が増えたため、3フロアになり、いかに“人工知能ビジネス”に力を入れているかが分かります。

 7年前、やはり囲碁指導で訪れた米西海岸のマウンテンビューにあるグーグル本社を訪ねた時、「こんな会社で働いてみたい!」と感動したことを覚えています。広大な敷地の各所にプロジェクトに合わせ、Aから始まる低層のオフィスビルがあり、ビルとビルの間には美しい芝生が広がっています。そこでバレーボールをする人がいたり、芸術的なオブジェが飾られていたり、各国の料理が用意されている大きなカフェテリアもあります。

 “働く人々の環境を整えることが仕事の効率を高める”というポリシーでつくられた仕事場は遊び心があふれ、米西海岸の晴れわたった気候も相まって、夢のような空間でした。

 そのメンタリティーはロンドンのグーグルのビルも同様でした。1階から吹き抜けになっていて、ビルの天井に浮かんでいるような階段が設けられています。それを取り囲むガラス張りの壁には、四角い付箋紙を使って描いた「ポストイット・アート」で彩られていました。休憩室には丸いカプセルの中で休める椅子もあります。

ロンドンのグーグル社屋は遊び心にあふれ、吹き抜けのガラス壁面は「ポストイット・アート」で彩られていた

 今回は、見晴らしが良い屋上で青空の下、太陽を浴びながら、昼食をごちそうになりました。

 翌日は数時間の自由時間ができたため、有名老舗デパート「ハロッズ」を訪れました。

ハロッズは世界中の紅茶やお茶が取りそろえられている

 伝統を感じさせるインテリアで、食料品売り場は、英国らしく世界中の紅茶やお茶が取りそろえられています。その中で、サウジアラビア王室御用達のデーツ(ナツメヤシ)の専門店が入っていました。日本では見掛けない店で、私のお気に入りでもあります。デーツは砂漠を移動するときの貴重な栄養源ですが、その店で売られているのは、デーツの間にいろいろなナッツなどがはさまれていて、大変においしいのです。ただし、カロリーが高いので、食べ過ぎには注意が必要です。

サウジアラビア王室御用達のデーツの専門店
デーツの間にいろいろなナッツなどがはさまれている

 女性服売り場では圧倒されました。6、7月は学校の卒業式や結婚式が多いのでしょう。これほど多くの、しかも豪華なロングドレスを一気に観賞したのは初めてです。

 シンプルなドレスの値段を見たところ約80万円。豪華な飾りが着いているものは、その何倍もの値段です。

 これだけたくさん売られているのですから、買う人がいるのでしょう。英国に富が集まっていることを実感させられます。

 今、英国は欧州連合(EU)からの離脱を来年3月に控え、英国に住む多国籍の人々は、その行方を静観しているようです。英国政府が今後、どのようにかじを切るのか―。静かに緊張が高まる中、私もその動向を注目しています。

 最後に、ディープマインド社のハサビスCEOが、AIについての英国政府機関の助言者として協力することになったことを報じた記事をご紹介します。

DeepMindのハサビスCEO、AIに関する英政府の助言者に

【筆者略歴】

小林千寿(こばやし・ちず) 日本棋院六段。1954年長野県松本市出身。故木谷實九段門下。72年入段。76年と77年に棋道賞女流賞を受賞。2000年に通算300勝達成。女流タイトル6回獲得。日本棋院の前常務理事。