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リスク管理面から農業の6次産業化支援 農薬飛散、食中毒やドローン事故など多様な賠償に対応

リスク管理面から農業の6次産業化支援 農薬飛散、食中毒やドローン事故など多様な賠償に対応 画像1
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 近年、「6次産業」という言葉を耳にすることが増えたかもしれない。農水省によると、「6次産業」の6は、1次産業の「1」、2次産業の「2」、3次産業の「3」をかけた「6」が由来。農林漁業者が、本来の1次産業(生産)だけでなく、2次産業(食品加工)・3次産業(流通・販売)に取り組む業態を指し、同省がバックアップをしている。

 農水省がまとめた2015年農林業センサスによると、農業就業人口(販売農家)は209万7,000人で、前回調査の5年前と比べ19.5%減少し、20年前からはほぼ半減。政府は農業分野の活性化策として、法人が農業に参入しやすくするために農地法を改正したり、生産者が加工や販売までを担う「6次産業化」を後押しする取り組みを継続。2015年時点で、農業経営体のうち法人経営数が2万7,000経営体と同25.3%も増加するなど、一定の成果を上げているという。

 その一方で増えているのが、製品不良や施設事故による人的被害など、農家側に多額の賠償責任が求められるリスク。「出荷した農産物や加工品で異常が見つかり回収を余儀なくされた」、「農家レストランや民泊で提供した食事で食中毒が発生した」、「観光農園で来場者から預かっていた物品が紛失した」、「農薬散布用ドローンが墜落して壊れた」…。業態が多様化すればするほど、農家が賠償責任を問われる事態に遭遇する可能性も高まる。また、政府の統計によると、農業における死亡事故は全産業の10.7倍の発生率(2015年)で、建設業などより高い。政府労災などの仕組みはあっても補償範囲が狭く、事業者側の負担が発生する可能性は大きいという。

 そうした中、共栄火災海上保険(東京)は、農業協同組合(JA)や生活協同組合(生協)などと連携し、農業生産者に降りかかる賠償責任リスクに対応した4つの保険商品を用意している。同社が農業事業者向けに推奨しているのが「農業者賠償責任保険」「農業応援隊(食品事業者総合保険)」「業務災害補償保険」「農薬散布用ドローン総合保険」だ。

 JA組合員向けの「農業者賠償責任保険」は、農地や農業施設の欠陥に起因する「施設リスク」、農産物などの欠陥に起因する「生産物リスク」、農業者が管理する保管物の損壊、盗取被害など「保管物リスク」への手厚い補償が特長だ。一例を挙げると、ビニールハウスの部材が風で飛散し通行人がけがをした、草刈り機が小石を飛ばし付近の車に傷をつけた、牛の搾乳体験中の小学生が牛に蹴られてけがをした、直販所に出したジャムで食中毒が発生したなどのケースに対応。生産物回収リスクに備える特約、体験農業宿泊時のリスクに備える特約なども用意している。

 「農業応援隊」は生産物リスク、施設リスクを基本補償としながら、任意で加入できるさまざまな特約補償サービスを用意。食中毒発生リスクなどのほか、除草剤が飛散して隣家の農産物を枯らしてしまった、食品工場が火災で長期休業し利益が損失した、コンピュータウイルス被害で顧客の個人情報が流出し、損害賠償を請求されたなど、多様なリスクに対応する。

 「業務災害補償保険」はJA組合員向けの労働災害保障制度。被害を受けた従業員に支払われる死亡保障、後遺障害補償、入院・手術補償、通院補償などの各保険金のほか、使用者賠償責任補償など事業者(使用者)を守る任意特約補償も用意しているのが特長だ。損害賠償額が政府労災の給付額を超えたり、被害認定に時間がかかることも多いことから、政府労災への補完として活用する加入者も多いという。

 「農薬散布用ドローン総合保険」は、近年、農薬散布用に改造したドローンの使用が増加えていることから開発された保険商品だ。ドローン本体価格は100万~300万円ほどだが、不慣れな操縦や、地形による不安定な無線状況などによる、思わぬ墜落など破壊リスクも大きい。自損事故に備えた補償(動産総合保険)のほか、ドローン本体や散布した農薬で他人の身体や財産に損害を与えた場合の損害補償(施設賠償責任保険)を補償の柱としている。

 共栄火災と連携するJA共済では、農業を取り巻くリスクやその対策について、PCやスマートフォンなどで閲覧できる「農業リスク診断」のページも提供している。