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繁栄の産業から安全、幸福の産業へ 日本総合研究所が50周年フォーラム

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一般財団法人日本総合研究所(寺島実郎会長)の創立50周年記念フォーラムが、このほど東京都内で開かれ、最新のデジタル技術で企業が組織やビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を柱に、同研究所の取り組みについて発表や講演が行われた。

「コロナを超えて日本再生へ『英知・共創・変革』のプラットフォーム宣言~サステイナブルな社会システムの創造に向けて」と題したフォーラムには、約150人が出席した。
オープニングトークで日本ユニシスの平岡昭良社長は、多数が利用できる共有資源が乱獲されることで資源枯渇を招くという「コモンズ(共有地)の悲劇」を紹介。「デジタル化されたものは簡単に共有でき、既にあるものを活用したり組み替えたりして付加価値をつけることで、循環型、持続型社会に変えられる」とし、「社会課題の解決にデジタルの力を使えないかという考え方がデジタルコモンズ」と説明した。
デジタルコモンズの成立要件として「自然を大切にする」「調和を重んじる」「相互扶助の精神」を挙げ「一人勝ちの世界からみんなで共有地を守っていく世界へ」「デジタルコモンズを作るのに最も近いのは日本」と強調した。

平岡昭良日本ユニシス社長

続くセッションでは、「情報・交流・社会参画のプラットフォームづくり~『ジェロントロジー』の視点から」「幸福実感社会づくりへ『福井モデル』の展開」「医療・防災産業の創成~新たしい産業づくり」の3テーマについて、研究成果やプロジェクトの進み具合が発表された。

総括講演で寺島会長は、研究所の歴史を「官公庁をバックアップするシンクタンクとして発足したが、通産省と経済企画庁の共管型だったため。片方に取り込まれるのではなく、天下りを受け付けないシンクタンクとしてやってこられた」「今日の発表は官公庁から委託された研究ではなく、主体的に公共政策指向のプロジェクトを率先していこうと研究員が頑張ってくれている」と振り返った。

寺島実郎日本総合研究所会長

DXに関連しては「ITビッグファイブのGAFAプラスMの株式時価総額は680兆円で、日本のGDPより大きい。目一杯公的資金を突っ込んで株価を支えた上で、こうなっている」と分析。「1970年に日本のGDPは世界の5.7%だったが、88年には16%と駆け上がった。昨年は6%を割り、50年前に逆戻している。とりわけこの10年、日本の存在感が埋没したのは事実だ」と危機感を示した。
埋没からの脱却策として「繁栄のための産業から、国民の安全、幸福のための産業構造に切り替える発想が重要になる。医療、防災を日本産業構造のまっただ中に持ってこられないかという日本総研の試みも、その意識」と解説した。
その上で「日本は蓄積してきた技術力をDXとつなげ、敬愛される先行モデルを作って存在感を取り戻すのは難しいことではない。日本人の価値創造を高めるために、シンクタンクからブレインズタンクへ、さらにアクトタンクとして、プロジェクトを実装し社会の一翼を担う組織となるよう、若い研究員と一緒に進めたい」と締めくくった。

日本総合研究所フォーラム