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【コラム:おんせん! オンセン! 温泉!】湯倉温泉 鶴亀荘

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 福島県は都道府県別の温泉地数ランキングで「4位」の温泉王国。「会津・中通り・浜通り」の3地域にまたがる広大な県内では、海沿いの風情ある温泉街から山沿いの一軒宿まで、さまざまな温泉を楽しむことができます。

 その福島県の山間部「会津地方」に位置する金山町は、昔ながらの温泉旅館、民宿、共同浴場などの小さな温泉地が点在しています。この町の温泉はどれも「サイダー」と称されるほど炭酸が多く、県内でも熱狂的な温泉ファンが多いエリアです。

 今回はそんな金山町に湧く小さな温泉地の一つ、「湯倉温泉」をご紹介します。

木造の風情ある「鶴亀荘」外観

 湯倉温泉は旅館と共同浴場が一軒ずつのこじんまりとした温泉地。金山町に流れる只見川のほとりに湧き、注意していないと見逃してしまいそうなほど山の緑に溶け込んでいます。

 そんな湯倉温泉の一軒宿「鶴亀荘」は、60年以上前からここにたたずむ老舗旅館。木造の建物は創業当時のままで、丁寧に手入れをしながら使われていて、しっかりと時間が蓄積した重厚な風情を感じます。客室数7部屋の小さな宿ですが、明るくて気さくな女将(おかみ)さんが迎え入れてくれるアットホームな雰囲気が温かく素敵です。

石造りとタイルが趣ある男性用内湯

 お風呂は男女別で、男性用が内湯と露天風呂、女性用は内湯のみ。女性用に露天風呂はありませんが、夕食後は1時間限定で、男性用女性用すべてのお風呂が「女性専用」になる配慮がされています(その時間、男性は入浴不可)。

 男性用内湯は4、5人ほどが入れそうな扇型の石造りの湯船。そこには茶褐色の源泉がそのまま掛け流されています。壁の青白タイルも趣(おもむき)があり、新鮮な湯の香りに包まれながらゆったりとした湯あみを楽しむことができます。

男性用露天風呂。冬の時期は「雪見」を楽しめる

 旅館の建物からせり出したように作られた露天風呂は、3人入ればいっぱいの大きさ。そこからは宿のすぐそばを流れる只見川と、対岸の深い山々を望むことができます。訪れた日はちょうど雪が降っていました。冬の時期は「雪見温泉」を堪能することもできます。

 泉質は、ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉。一言でいえば「茶褐色」ですが、黄、茶、白、緑色の混ざったような湯色は、温泉マニアの中でも、とても珍しいと評判です。鉄、土、硫黄、甘さが混ざったような複雑な香りや、ツルツル感とキシキシ感の同居する肌触りなど、源泉の個性は奥が深く、お湯そのものと対峙(たいじ)するだけでも至福のひとときでした。「サイダー」と称されるこのエリアの温泉らしく、口に含むと感じる「微炭酸」はハイボールを飲んでいるかのような爽やかさです。

赤かぶ寿司やぜんまい煮等の色彩豊かな「前菜プレート」

 鶴亀荘の魅力は温泉だけでなく食事にもあります。旅館の若主人が腕をふるう「創作料理」が人気。丁寧に工夫を凝らした料理が一品ずつ運ばれ、ゆっくりと味わわせてくれます。

食材は地元産のものをメインに使用し、食器にも地元の伝統工芸「会津塗」を使用するというこだわりはさすがです。訪れた日は、地元の野菜や山菜をふんだんに使った前菜プレートや、子持ち鮎有馬煮、福島牛と冬ネギの八幡巻などのメニューに舌鼓。そんな美食を地元の酒蔵が作った日本酒をお供に楽しめるのですから、言うことありません。

新しく生まれ変わった「湯倉温泉共同浴場」外観

 鶴亀荘のすぐ横には「湯倉温泉共同浴場」があります。2015年に建て替えられたばかりの新しい施設で、館内の設備も整っていて清潔。男女別の内湯のみのシンプル造りで、鶴亀荘と同じ源泉を、こちらも掛け流しで堪能することができます。

 入浴には300円の「温泉維持協力金」が必要ですが、毎日通う地元の方々との素朴な会話は、旅の一興です。

風情とおしゃれを兼ね備えた「鶴亀荘」エントランス

 12月に入り都内でも気温1桁台の冬の日が増えてきました。湯船で冷え切った体を湯船に沈めれば、ジワジワと体が温まる幸福の瞬間。自宅のお風呂もいいですが、温泉が恋しい季節ですね。

 コロナ禍の第3波が懸念されていますが、体調管理、手洗い、消毒を徹底し、「密」を避けることができれば、完全ではないですが、ある程度は効果のある対策と言われています。今回ご紹介した「鶴亀荘」含め、多くの温泉旅館では徹底した対策を実施しています。これから訪れる冬本番。感染対策を徹底しつつ、安心安全に温泉旅行を楽しめたらいいですね。

 

【湯倉温泉 鶴亀荘】

住所 福島県大沼郡金山町本名上ノ坪1942

電話番号 0241-54-2724

URL http://turukameso.com

 

【泉質】

ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩温泉(低張性 中性 高温泉)/泉温58.6度/pH:6.4/湧出状況:動力/湧出量:130リットル/加水:なし/加温:なし/循環:なし/消毒:なし

 

【筆者略歴】

小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。 交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は2000以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)。