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【コラム:おんせん! オンセン! 温泉!】湯河原温泉 源泉宿ゆっくり

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    6月、気候からも「初夏」を感じるようになりました。ポカポカな陽気に誘われて、ふらっと遠出をしたい気持ちになりますが、やっと3度目の緊急事態宣言が解除されたばかり。今後も個々人までの徹底した感染対策が必要なのは変わりません。長距離の移動はリスクが大きいとされていますので、特に注意が必要です。

    とはいえ、温泉好きの方々が温泉旅行に行きたい気持ちもよくわかります。私も温泉大好きですので。。そんな時は自宅から近場の温泉を楽しみたいものです。温泉旅行の醍醐味(だいごみ)の一つは、「非日常」を味わうことにあると思います。今回は、都内から至近距離にある湯河原温泉の宿、「源泉宿ゆっくり」をご紹介します。

素朴な雰囲気の湯河原温泉街

 神奈川県西部の湯河原町に湧く「湯河原温泉」は、奈良時代末期の「万葉集」にも登場する歴史ある温泉地。明治から昭和期にかけては、国木田独歩(くにきだ・どっぽ)、島崎藤村(しまざき・とうそん)、芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)などの文豪にも愛された温泉としても知られています。現在でも当時の風情を残した伝統的な日本旅館が多く、温泉街全体で「レトロ」な雰囲気をつくりだしています。

 アクセスは都内からほど近く、鉄道利用であれば60~90分ほどです。好立地ではありますが、近隣の箱根温泉や熱海温泉に比べると混雑具合は少なく、温泉街は落ち着いた印象です。

「源泉宿ゆっくり」玄関。たくさんのたぬきの信楽焼がお出迎え

 今回ご紹介する「源泉宿ゆっくり」は、湯河原温泉街の上流に位置する温泉宿。宿泊プランは「素泊まり」のみで、希望すれば朝食のみ別料金で追加することができます(朝食が名物でもあるので後述します)。

 アクセスは湯河原駅からバス利用が便利で、約10分の乗車後「温泉場中央」で降りると目の前にあります。シンプルな白の外観は、どことなく昭和が漂い、ノスタルジックな雰囲気。玄関ではたくさんの「たぬきの置物」たちが出迎えてくれます。

 館内は客室が全8部屋とこぢんまりとしていて、ゆっくり過ごしてもらうために宴会などはお断りしているのだそうです。また、温泉の「日帰り入浴」も不可。それが宿名の「ゆっくり」につながるのですが、まさに今の時代にマッチしたコンセプトであると感じます。

昭和の雰囲気を残すレトロな浴室

 浴室は男女別の内湯のみ。夜中に入れ替わるので、朝夕入浴すればどちらのお風呂も楽しむことができます。

 メインのお風呂は、床の丸模様のタイルがかわいい共同浴場的な雰囲気で「昭和レトロ」という言葉が似合います。敷地内から湧く「自家源泉」を、加水も循環もせずに「掛け流し」で楽しめるのが温泉好きにはうれしいポイント。宿の源泉は60度を超えるため、湯量を調整したり扇風機を活用したりと細かい微調整を常に行い、少し熱めの適温に保たれています。

もう一つの浴室。ここでもたぬきが出迎えてくれます

 泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。ツルツルスベスベのやわらかい湯質の中に、塩分メインのミネラルの主張をしっかり感じられます。ほのかな潮っぽい湯の香りも温泉情緒を高めてくれ、湯上りは玉のように汗が出るほど身体がポカポカ。塩化物泉のため、保湿効果も実感することができました。

「特大あじの干物定食(1100円)」

 素泊まりの宿ですが、余裕があれば別料金の朝食をぜひ楽しんでください。朝食希望の場合は、夕方のチェックイン時に注文するスタイルで、「特大あじの干物定食(1100円)」と「極ウマ鮭定食(1000円)」の2種類から選べます。

 宿のお薦めは「特大あじの干物定食」。ということで、そちらを注文しました。30センチ弱はあろうかという「あじの干物」は、見た目だけでなく味も素晴らしい。ふっくらとした肉厚の身は、新鮮な海を感じるうま味が凝縮された脂がたっぷり乗り、口の中でとろけるようで白米が進みます。ダシの効いたみそ汁もおいしく、大満足の朝食でした。「特大」というだけあり、その日は昼食がいらないくらい満腹になりますので、覚悟して臨んでください。

客室一例。チェックアウトが翌日12時までと「ゆっくり」できます

 自粛生活が長引くと毎日にハリがなくなってくるものです。感染対策はとても大切ですが、バランスを取りながら近くの温泉で「非日常」を感じることは、心のハリを取り戻し、元気な日常が取り戻せるような気がします。

 湯河原温泉に限らず、近所でも「非日常」を感じられるスポットはたくさんあるはずです。そんな温泉地で「ゆっくり」過ごす1日を大切にしたいと思う今日この頃です。

 

【湯河原温泉 源泉宿ゆっくり】

住所 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上611

電話番号 0465-62-5559

URL https://www.yugawara.or.jp/stay/4010/

【泉質】

ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)/泉温64.6度/pH:8.4/湧出状況:不明/湧出量:不明/加水:なし/加温:なし/循環:なし/消毒:なし ◆自家源泉完全掛け流し

【筆者略歴】

小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。 交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は2000以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)。