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ちょっぴり幸せを感じる時 お茶でも飲みながら憂さ晴らしを

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 長引くコロナ禍。何となくうっとうしい。もやもやとした気分がいつまでも続く。そうした状態にあってもふと心地良さを感じる時がある。たわいない、ばかげたなかに案外、プチ幸せが潜んでいたりして…。皆さんも気分転換を兼ね見つけてみませんか。

 

「せいだのたまじ」を食べるとき

 

 「せいだのたまじ」はジャガイモの煮っ転がしである。山梨県東部の山あいの地域でこう呼ぶ。それを食べに行く。ジャガイモの煮っ転がしなんて自分で作ればいいじゃないかと思われるが、食べに出掛けるところに心がくすぐられるのである。行くといってもそう簡単ではない。

 私の住む東京・多摩ニュータウンから中央自動車道の府中・国立インターを目指し、高速道に乗って四つ目の上野原インターまで走る。一般道に出て上野原市内を北上、同市棡原(ゆずりはら)地区の交流施設「ふるさと長寿館」まで。約1時間半。これがいつもの定番コースだ。

 1皿(10個盛り)330円のジャガイモの煮っ転がしを食べるのに往復2180円の高速料金を払ってまで…このばかばかしさ。

 大都市の東京と境を接する長寿の里、棡原。その静かなたたずまいに引きつけられるのだ。地区の郷土食として昔から連綿と受け継がれてきたせいだのたまじ。甘辛い味は通常の煮っ転がしと変わりないが、山里の原風景に溶け込んで心を落ち着かせてくれるのだ。

 ちなみに「せいだのたまじ」は江戸時代後期、この地域で代官をしていた中井清太夫(なかい・せいだゆう)に由来するという。

 

咲き誇る藤の花=4月27日、あしかがフラワーパーク(筆者撮影)

藤の花をめでるとき

 

 しだれ桜ならぬ藤のしだれ具合も壮観だ。流れ落ちる滝のよう。晩春から初夏にかけて咲き乱れる「あしかがフラワーパーク」(栃木県足利市)の藤の花を見た。同パークは米CNNテレビが夢見る観光スポットとして選定され、一躍脚光を浴びている。全世界10カ所のうち日本から選ばれたのはここだけだ。

 広さ約10万平方メートルの園内にはサクラ色の「うす紅」、紫の「大藤」、気品漂う「白藤」、日本では珍しい「黄ばな藤」の4種類の藤の花が栽培されており、紅―紫―白―黄の花の移ろいを季節の歩みとともに堪能できる。特に、紫の大藤は樹齢150年を超える大木(幹回り約8メートル)で幹から伸びる枝は空を覆い隠すほど。その枝ぶりが藤棚いっぱいに広がり、垂れ下がった細枝から無数の花を咲かせている。園地はもともと湿地帯だったということで、土壌改良のため250トンの炭を敷き詰めるなど樹木の活力アップに細心の注意を払っていることも見事な開花につながっているようだ。

 花からは甘酸っぱい匂いも感じられ、色と香りのオンパレードだ。まさに花絵巻の競演で非日常の世界に引き込まれるような錯覚に陥る。こうした点がCNN推奨の理由になっており、フィンランドのオーロラなどとともに世界の舞台に躍り出た。

 それにしても園内はコロナ禍どこ吹く風といったすごい人出だ。施設運営側の感染対策(マスク着用、検温、3密回避など)に応じながら、入園者はしばし夢幻の境地に酔いしれていた。

 

風呂上がりにコーヒー牛乳を飲むとき

 

 この風呂はスーパー銭湯のことである。自宅の風呂はもう十数年来入っていない。狭苦しいのと冬場の寒さ(ヒートショックを警戒)から敬遠するようになった。また、社会との接点を保つためなるべく外に出るよう心掛けている側面もある。

 私の行きつけのスーパー銭湯は東京西部の多摩川沿いにある天然の源泉掛け流し(地下1800メートルからくみ上げる)温泉だ。まず掛け湯をした後、ぬるめの高濃度炭酸泉に入る。思い切り足を伸ばしてリラックス。肌に気泡ができるまでつかる。次いで露天風呂へ。天気の良い日は丹沢山系の稜線やその奥に富士山も見える。湯の中でストレッチ体操をしながら胸いっぱい外気を吸う。

 体が少し冷えてくるので温め直すためゲルマニウム湯(浴槽内に浸した黒い天然石からゲルマニウムが放出され、新陳代謝を高めるという)につかってから洗い場に回る。備え付けのシャンプー類は使わない。持参のせっけんで体を洗う。でないとリズムが狂う。再びゲルマニウム湯に入って仕上がりというのが大体のルーティン。湯船1時間、体洗い30分といったところか。

 湯上がり時には喉はからから。ロビーで一休みしながら飲むコーヒー牛乳の味は格別である。別にコーヒー牛乳でなくても冷たい飲み物であれば何でもいいのだが…。

 

(ジャーナリスト 前川 芳一)