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「(今さらだけど)外国人労働者ってどういう人たちなの?」

「(今さらだけど)外国人労働者ってどういう人たちなの?」 画像1

オペレーショナル・デザイナー(沼津信用金庫 参与)佐々木 城夛

 

 東京在住の筆者だが、早朝や深夜にコンビニエンスストアを訪れた際に、日本人店員に応対される機会の方が少なくなって既に久しい。先日訪問したユニクロ御徒町店で、親族から頼まれた割引対象商品を確認しようと尋ねた店員も、発音を聞いて初めて日本人ではないことに気づかされた。

 こうしたわずかな経験を重ねる中で、外国人労働者が働く地域や業種が広がっていると皮膚感覚で捉えているものの、改めて、彼ら彼女らについての基本知識を備えていないことを思い知らされた。本稿では、同様の状況にある各位に対し、概要をごく簡単に紹介したい。

 

1 どんな人が滞在しているのか?

 

 ちまたでよく聞く「外国人が日本で働くには労働ビザが必要」という情報は誤りで、法律上、労働ビザというものはなく、俗称にすぎない。日本国内で外国人が滞在するには、まずもって在留資格が必要で、そのうち労働が可能な種類の資格を保有している者だけが働ける立て付けだ。

 手順としては、入国前に滞在申請に対する審査が実施され、それを通過した外国籍の者に出入国管理及び難民認定法(略称:入管法)に沿った在留資格認定証明書が発給される。この在留資格は29種に分類され、おのおのの資格ごとに日本国内で行える活動内容が定められている。複数の在留資格を申請・保有することは認められず、どこか1種に必ず属する形となる。

 証明書には期間が設定され、同一の在留資格者であっても、日本での滞在可能期間はおのおの異なる。在留資格認定証明書が失効した時点で即座に不法滞在となるため、継続した滞在を希望する場合には、期間満了前に在留資格申請が必要となる。

 

 29種類の在留資格は、2種に大別され、さらに就労の可否と内訳により細分化される[図表1]。本稿では、図表上で着色した4種の資格を概説する。

 A1には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習の19種類がある。

 例えば調理の資格(技能に該当する)で在留資格を与えられた者がオーナーとなって飲食店を開業しようとした際には、経営・管理の在留資格が改めて必要となる。このため技能から経営・管理の在留資格に切り替えれば、今度は調理人として就労できない、従って日本では、いわゆるオーナーシェフのような形では外国人は滞在・就労できない。

 A2には、文化活動、短期滞在、留学、研修、配偶者または子に限った家族滞在の5種類がある。そもそもの位置づけが、働けない資格となる。

 A3は、特定活動の1種類だけが定められている。大使館の家事使用人やワーキングホリデー滞在者のほか、日本の四年制大学および大学院に留学し卒業した者もここに位置づけられる。

 Bには、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類があり、日本人同様に就労活動に制限がなく、どんな仕事でも行える。永住者は、特別永住者と永住者に区分され、前者にはいわゆる在日韓国・朝鮮人や台湾出身者らが含まれる。

 

 日本の国籍法は、「父母のいずれかがその国の国籍であれば子どももその国籍を取得する」という“父母両系血統主義”を採用している。いわゆる日系人もこの考え方を基準に取り扱われており、Bの日本人配偶者と定住者に日系人の一部が含まれる[図表2]。

 

2 どのくらいの人数が滞在しているのか?

 

 2020年末の在留外国人数は288万7116人であり、同時期(2021年1月1日現在)の大阪市の推計人口275万3476人と同程度に匹敵する。図表1で示した分類に沿った直近5年の推移では、特に一昨年から昨年にかけて特徴的な動きがみられている[図表3]。

 

 前年比で-1・7%、人数では約1万3500人が減少したA1では、技能実習制度の初級に該当する技能実習1号の資格者が約9万人減少した結果、技能実習制度全体の資格者も約3万3千人減少した。

 その一方で、人手不足解消への対処を目的に制度手当てされ、2019年から施行された特定技能の資格者が約1万4千人も増加している。後者は単純労働でも就業が可能であるため、国内の人手不足解消の調整弁として機能したことだろう。

 前年比で-13・1%、人数でも約7万2400人が減少したA2では、留学資格者の約6万5千人の減少がほぼそのまま反映された。また、家族滞在の資格者が約4800人減少しているため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大局面下での自国への帰国などが見込まれる。

 内訳が特定活動だけのA3は、前年比で+58・7%、人数では約3万8千人増となった。コロナ禍下での特例措置として、日本への留学を終えたものの帰国できない者が帰国の途につけるまでの間、特定活動の資格を与える対応がみられているもようだ。

 また、急激に悪化した景気を背景に、実習先から解雇された技能実習生の雇用を維持するため、特定技能制度の14分野の再就職支援とともに、特定活動の資格を付与する動きもみられている。これらが、人数を押し上げる形となった。

 

 国籍別では、直近5年間の上位5カ国の顔ぶれに変わりはないものの、他の4国が人数を減らす中でベトナムだけが前年比で人数を増やし、人数で2位に浮上した[図表4]。前向きな受け入れ増以外に、国内隔離施設の収容人数が少ないことなどを背景としたベトナム政府の厳しい入国制限があり、昨年の年末時点で約3万6千人が足止めを余儀なくされているとの報道もみられている。

 

3 どのくらいの人数が労働に従事しているのか?

 

 2020年10月末の「外国人雇用状況届出(書)」提出基準での外国人労働者総数は、172万4328人であり、同時期(2020年9月1日現在)の福岡市の推計人口160万3043人と同程度に匹敵する。時期は2カ月ずれるが、在留外国人総数に占める割合は、約55・5%と半数強に達する。

 

 図表1で示した分類に沿った 人員数では、就労活動に制限のないB(⑥)が全体の3割強の54万6469人を占める[図表5]。A1全体から技能実習資格者(②)を抽出すると40万人強となり、それ以外の合計(①)である36万人弱を上回る規模となっている。

 1993年度に制度化された技能実習制度の普及・定着とともに、国際協力推進のための技能・技術・知識の開発途上地域などへの移転という目的・趣旨からの逸脱を懸念する。40万人強という人数は、図表3の出典元である出入国在留管理庁の技能実習資格者を約2万4千人上回ってもいる。資格者数を労働者数が上回る事態には、複数先での就業時の同一人物の名寄せ(データ統合)実態など管理の不十分さだけでなく、在留資格認定証明書の偽造や不法就労を疑わざるを得ない。

 さらに、そもそもの位置づけとして就労ができないA2の資格者を含む資格外活動の従事者(④)がA1全体から技能実習者を除いた人数(①)を上回ってもいる。出入国管理局への事前申請により、相当性を判断根拠に最長で週28時間以内の就労が認められる資格外活動は、風俗営業法関連職種以外であれば就労制限がない。留学在資格者だけでも30万人強に達する就業者は資格者の28万人超を上回り、技能実習制度同様に、名寄せなど管理の不十分さだけではなく、制度の形骸化や法定就労時間超過を疑わざるを得ない。

 セブン・イレブン・ジャパンの公式サイトには、「店舗で働くアルバイトの約8%が外国籍」という情報開示がみられる。コンビニ業界だけでも、相当数の資格外活動従事者を雇用し続けているのが実情だと見込む。本来は身に付けた技能・技術・知識を発展途上地域などで活用してもらう対象者である技能実習修了者が、単純労働にも就労可能な特定技能に切り替える向きもみられる妙だ。

 昨年6月の自民党の外国人労働者等特別委員会では、特定技能資格の対象業種に、コンビニエンスストアの外国人労働者のまとめ役を反映するよう働き掛ける旨が報道された。最終的に経済財政運営の基本方針には反映されなかったものの、今後も事実上の移民受入政策の拡大が模索され続ける事態を予測する。

 外国人在留者や労働者との共生には相互理解が不可欠だが、私見では、調査報道の絶対数自体が少ないと言わざるを得ない。既に国内第3位の都市の人口と同程度の在留者、第6位の都市の人口と同程度の就労者を抱える中では、局所的な事件報道だけではなく、構造的な課題を掘り下げる調査報道がもっと必要だと考える。