カルチャー

イスラム市場参入のパスポート 「ハラール認証」

10376009168ハラール認証の概要

1)ハラール認証の基礎知識
 ハラールとはアラビア語で、「健全な商品や活動、または許された商品や活動」を意味します。
 イスラム教は戒律で、不浄なものとされる豚由来の食べ物やアルコール類を含む食品を口にできません。ハラール認証は、このようなイスラム教の戒律にのっとっていることを示すものであり、ムスリムはこの認証を確認して、さまざまな商品を購入しています。
 ハラール認証には、食品以外にも、化粧品、医薬品、介護用品、イスラム金融などがあり、食品からサービスにわたる幅広い業種に関係します。とはいえ、食品は日々の生活に密接に関わるものです。日本企業がハラール認証の取得に取り組む場合も、現状では食品関連が多いようです。

2)ハラール認証の認証機関
 ハラール認証に統一規格はなく、世界各国にさまざまな種類の認証があります。それぞれに共通する要求項目は「豚および豚派生品は一切使用しない」「食品にアルコールを一切使用しない」という2点のみで、細かい内容や、取得の難易度なども異なります。なお、日本でのハラール認証機関には次のようなところがあります。
   ・日本ハラール協会
    http://www.jhalal.com/
   ・日本アジアハラール協会
    http://web.nipponasia-halal.org/
   ・日本ムスリム協会
    http://jmaweb.net/
   ・イスラミックセンター・ジャパン(ICJ)
    http://islamcenter.or.jp/
   ・日本イスラム文化センター
    http://www.islam.or.jp/
   ・MHC(ローカルハラル認証)
    http://www.mhalalc.jp/

ハラール認証の取得の検討前に知っておきたいポイント

1)管理体制の整備
 ハラール認証は、生産から販売までの全ての過程に適用されるため、一部でもハラールの基準にのっとっていなければ、ハラールであると認証されません。たとえば、食肉加工であれば、ハラールに基づいて解体・処理された食肉を仕入れ、ハラールでないものと接触しないように輸送車両を分類するなどハラールに基づいた輸送を行う必要があります。

2)原料の選択
 原料にハラールでないものが使用されている場合、ハラールでないものを取り除いたり、ほかのものに置き換える必要があるため、製造原価がそれだけふくらむ可能性があります。ハラール認証の取得に際しては、自社が扱う商品を原料ベースで見直し、ハラールでないものや派生品(豚についていえば、ラード、皮、内臓、血液、骨、毛など)に該当しないかどうかを確認する必要があります。

3)専用設備のコスト
 ハラール認証では、食品の製造や調理段階で、ハラールであるものとハラールではないものが接触しないことが求められます。ハラール食品専用の加工ラインを設置したり、調理器具を整備する必要があります。

4)従業員教育
 ムスリムにとって、ハラールは日常の習慣です。しかし、日本ではイスラム教やハラールの考え方自体になじみがないため、ハラールの徹底は難しいものです。それゆえ、「一貫した管理」「派生品についての考え方」などの扱いに関して混乱が生じる可能性があります。
 このため、ハラール認証の取得に際しては、社内で講習を開催するなどして、従業員への啓発活動を行うことが大切になります。

5)専門家によるコンサルティング
 ハラール認証の取得に取り組むためには、ムスリムや知見をもつ専門家の協力が不可欠であり、複数回にわたってコンサルティングを受ける必要があります。ローカルハラル(注)の認証機関でもあるMHCでは、クライアント企業からヒアリングを行い、どのようにハラル化を進めるべきかアドバイスしたり、独自のムスリム団体等とのネットワークを活用したマーケティングリサーチなどを行っています。
(注)MHCがマレーシアのハラール認証基準をベースに、非イスラム国である日本のビジネス環境の実情に合わせてローカライズした規格であり、商標登録されています。

ハラール認証取得手続き

1)ハラール認証の申請をする際の注意事項
 日本ハラール協会では、ハラール認証を申請する際の注意事項を周知しています。これらを参考に、申請の前に自社がやるべきことを整理してみましょう。

  1. 企業としてハラール製品を生産する体制が整っていること。ハラールプランを作成すること。
  2. 製造・生産過程に加工が施されるものには、全ての原材料にハラール性が確認できるもののみを使用すること。
  3. ハラールサプライチェーンを遵守すること。
  4. 社内にイスラム教徒、もしくは非イスラム教徒でも協会の提供する“ハラール管理者トレーニング”を修得し、ハラール管理者として就労していること(複数名以上)。認証取得から2年間以内にイスラム教徒を雇用すること。
  5. 荷物昇降、製造ライン、品質管理、倉庫、配送に至る一連をHACCP、GHP、ISO9000、GMPの基準(または同等のもの)に基づきクリアしていること。

2)ハラール認証の取得
 日本ハラール協会では、ハラール認証の流れをフローチャートで紹介しています。自社が認証を取得する際の流れがイメージしやすいので、参考にしてください。申請から認証までの期間は約2~6カ月が目安になります。

 ハラール認証の取得後は、認証を証明する「ハラール・ロゴ」をデータで受け取り、商品に記載します(記載を望まない企業は使用する必要はありません)。認証企業以外の者が乱用・悪用することを防止するため、各企業へ発行されるハラール・ロゴには、その企業のみが利用するシリアルナンバーが記載されています。ハラール認証書は発行日から1年間有効です。

 

筆者:日本情報マート

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