カルチャー

名画が動く!? あべのハルカス近鉄本店「イタリア」展に「最後の晩餐」アートが登場

 あべのハルカス近鉄本店(大阪市)のイタリア展催会場(ウイング館9階)に、縦2メートル、横3.5メートルの巨大な動く「最後の晩餐」が姿を現した。この世界的名画はレオナルド・ダ・ヴィンチがイタリアの教会の食堂の壁に描いたもので、イタリアの“美食”と“職人技”を楽しむ「イタリア」展の特設コーナー「レオナルド・ダ・ヴィンチと『最後の晩餐』」内に展示されている。

会場の入口
会場の入口

 展示ゾーンには、ダ・ヴィンチの足跡をたどる地図や年表、手掛けた絵や彫刻の紹介、20代の頃のデビュー作「受胎告知」や“謎の微笑”で知られる「モナ・リザ」(いずれも陶板製)、ダ・ヴィンチがアイデアをつづった手帳の「手稿」(ファクシミリ版)数点が並ぶ。「最後の晩餐」ゾーンでは、大型LEDディスプレイ(協力:西尾レントオール)で上映される“動く名画”の横で、テーブルアート(家具協賛:+CASA)が彩りを添える。

 “動く”「最後の晩餐」を制作したのは、「『キャプテン翼』や『聖闘士星矢』など日本のアニメを見て育った」というイタリア気鋭のアートディレクター・映像作家のリノ・タッリアフィエーロさん。「子供の頃、ダリなどの絵画展を見て『絵が動いてる!』と感じた。僕はヨーロッパ・イタリアという国で古典作品本来の良さをリスペクトして育ち、芸術の道を進む中、静止した作品に“魂”の息吹を込めた“動かす創造”を手掛けるようになった。“デジタル”と“古典”の相互リスペクトに基づく融合によって、古典本来の良さを感じ、新たな発見をしてほしい」と語った。

映像作品「The Last Supper Alive」の前に立つリノ・タッリアフィエーロさん
映像作品「The Last Supper Alive」の前に立つリノ・タッリアフィエーロさん

 テーブルアートを担当した関西出身のアーティストのakariさんは、「今回の展示には純潔の“白”がいいなと。カトラリーやボトルに白い半紙を何重にも巻くことで、“機能”のためにある色や材質を奪って、全部が同じ“白の柔らかなふっくらした質感”になる。“無”にすることで純粋で神聖な感じにもなるし、巻く行為が大変で“無我の境地”にも」と説明。作品にペインティングを施したKiichiro Ogawaさんは、「宗教画を冒瀆してはいけないと思って、悩んで教会にも行った。背景に書き込んだのはイエスのせりふ“それはあなたが言ったことである”、イエスの“慈悲”を表そうと思った。12弟子がいて、実際はユダだけでなく12の裏切りがあった。そこで、テーブルクロスも12色でペイントした」と話した。インスタ映えするテーブルアートでの写真撮影もおすすめだ。

Kiichiro Ogawa氏とakari氏
「The Last Supper Table」を手掛けたKiichiro Ogawaさんとakariさん

 「受胎告知」と「モナ・リザ」を制作した大塚オーミ陶業の担当者、浅井健司(あさい・けんじ)さんは、「大塚国際美術館(徳島県)で展示している“陶板名画”を持ってきた。“陶板”は千度以上の高温で焼いた焼き物。縄文土器が今でも残っているように、何百年先の未来の人にも同じものを見てもらえるのが“陶板名画”の良さ」と解説。本物を飾った美術館のようにケースやカバーがないので、間近で見て触れられる。

「受胎告知」と「モナ・リザ」について説明する浅井健司さん
「受胎告知」と「モナ・リザ」について説明する浅井健司さん

 さまざまな大きさの「手稿」は、ダ・ヴィンチが生涯書き留めた約8千ページにわたるアイデア手帳の一部。どのページも、鏡に映すと正しいアルファベットになる“鏡文字”で書かれている。指紋の跡まで精巧に再現されたファクシミリ版で、細かな筆跡や緻密なイラストが確認できる。

(左から)「パリ手稿」、「鳥の飛翔に関する手稿」、「レスター手稿」を見る姜尚中さん
(左から)「パリ手稿」、「鳥の飛翔に関する手稿」、「レスター手稿」を見る姜尚中さん

 「日曜美術館」のキャスターを務めたこともある政治学者の姜尚中(かん・さんじゅん)さんが会場を訪れ、「コントラストのはっきりしたもののほうがデジタル化しやすいが、あれだけ退色した壁画をデジタル化したことに驚いた。(食堂に誰もいなくなる)不在の場面で“あ!”となる。アーティストならではの独特の解釈に、多くの人が何かを感じるだろう。和紙で巻かれたカトラリーは最初軽そうに見え、テーブルで何か“ドラマ”があったとイメージさせる構成になっている。小さなスペースの中で“映像”と“リアル”がうまくまとまっている」と感想を述べた。

作家から話を聞く姜尚中さん
作家から話を聞く姜尚中さん

 会期中の10月21日(日)には、「レオナルド・ダ・ヴィンチの謎に迫るセミナー」が11時と13時からの2回にわたり、催会場内イベントスペースにて開催される。10月20日(土)・21日(日)11時~19時には、「最後の晩餐」食卓前で、スパークリング清酒「澪(みお)」(宝酒造)が無料で振る舞われる予定。「レオナルド・ダ・ヴィンチと『最後の晩餐』~大型ディスプレイで観る“動く名画”~」は10月23日(火)まで。