カルチャー

「絵は一人では描けない」「小さい時に見たものが人生を決めていく」 千住博さんら専門家3人、小学生親子にアートを語る

絵は一人では描けない 

 千住これ僕が滝の絵を描いているところ。絵を描くというと筆で描くものと思われていますが、僕の場合は上から下に絵の具を流すんですね。どうしてかというと、滝っていうのは上から下に液体が流れているものだから。絵の具による直接の滝を作ってしまおう、という発想だったんです。

製作中の千住博さん
製作中の千住博さん

千住大きな絵が多いので、アトリエにはスタッフも何人かいます。高さのある作品は、脚立に乗っても一人が押さえていないとひっくり返っちゃう。スプレーガンで絵の具を吹き付ける時は、コンプレッサーを調整する係もいる。決して僕一人で描いているわけじゃないんです。

脚立に乗って描く千住博さんとサポートするスタッフ
脚立に乗って描く千住博さんとサポートするスタッフ

千住どういうことかというと、一人で何かをしている人って多分世の中に誰もいない。みんなお互いに助け合ってる。それが世界だと思うんです。絵でさえ決して一人で描いていない。浮世絵も、葛飾北斎は下図を描いただけ。別の人が彫って、別の人が色をつけて、別の人が刷って。 

 高橋もしお手伝いの人がいなくて千住さん一人でても、絵を見る人がいなかったら何にも成り立たないですね 

 千住そうです。紙を作る人も、額縁を作る人も、展示をする人も。それが社会なんです。一人で成立していない。

キャンバスとなる和紙を揉む千住博さん
キャンバスとなる和紙を揉む千住博さん

千住ロビンソン・クルーソーみたいに無人島一人でいたら、そもそも絵を描いていたかどうか。絵はコミュニケーションだから、相手がいてコミュニティーがないと成立しないんです。無人島に仮にゴッホやピカソが流されても、絵は描かないでしょう。