カルチャー

良いことと悪いことの視点 両サイドから始まる物語

『わたしのやま』
『わたしのやま』

 良い、悪いは、主観から始まる。異なる立場から見たら判断は変わるかもしれない。それが経験できる絵本『わたしのやま』(作:フランソワ・オビノ、絵:ジェローム・ペラ、訳:谷川 俊太郎)が、世界文化社(東京)から発売された。価格は1,400円(税別)。

 この絵本は、両サイドの表紙から始まる2つの物語。一見、相対する羊飼いと狼の同じ山でのそれぞれの生活を描き、敵か味方か、正義か悪か、といった単純化したフィルターを外して物事を見ることの大切さを伝えている。しかも文章は両サイドとも同じもの。はじめは羊飼いの視点で見ていた自分が、読み込んでいくうちに、狼にもどこか自分と重なる部分を見出し、果たしてこの狼は自分にとって敵なのだろうか?と考えさせられる作品。フランスでは「アンコリュプティブル賞」(2019-2020)にセレクションされている。

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 谷川俊太郎氏は「人間の立場と狼の立場が、“いのち”の眼で見れば同じという真実を、テキストとレイアウトのアイデアにあふれた工夫で、シンプルに描き出しているところが新鮮です」としている。