カルチャー

コロナ最前線の記録 封鎖下の生活を記す『武漢日記』

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 日本も世界もまだ渦中の新型コロナウイルス。感染拡大を抑えるため、中国の武漢市が封鎖された年の初めが、なんだかはるか昔のように思える。当時、自身のブログ上で日記を書き始めた作家がいた。封鎖下の60日をまとめた『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』(河出書房新社)が、9月9日に刊行される。

 著者は、武漢在住の著名作家・方方さん。封鎖が始まった1月末から、封鎖解除が通達された3月24日までの日記をまとめたドキュメントだ。日記の更新はいつも深夜12 時頃だったが、「彼女の日記を読まずには眠れない」と多くの中国人がその更新を心待ちにした。いつ終わるともしれない封鎖生活に不安を抱えていた人々にとって、その冷静な視点でつづられる言葉は、“真実”を知る手掛かりや心の慰めになり、読者は億単位とも言われた。

 個人的な記録としながらも、政府会見や医師への聞き取りなど、多面的な要素を取り入れ、身近な人が次々と死んでいく悲惨な状況、食料品やマスクの不足、医療現場の疲弊と焦燥などをリアルに追体験できる。報道されない無数の悲劇をすくい上げており、封鎖下で何が起きていたのかを包括的に知ることのできる第一級の資料だ。アメリカ、イタリア、ドイツなど世界15カ国で出版が決まっている。価格は税別1,600円。