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太陽光発電は自然災害のリスク管理を 日本アセットマネジメント協会がセミナー開催

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 「太陽光発電事業は、買い取り制度変更への対応や大規模災害への対策が急務」――。一般社団法人 日本アセットマネジメント協会(JAAM、東京都港区)は9月17日、再生可能エネルギーとして期待される太陽光発電について、事業としての課題や将来性を考えるオンラインセミナー「変化の時代の太陽光発電アセットマネジメント」を開催した。

 2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、次世代エネルギーとして再生エネが注目され、2018年に政府は第5次エネルギー基本計画の中で、太陽光発電など再生エネを「主力電源化」していくことを明記した。

FITからFIPへ

 再生エネの“主役”ともいえる太陽光発電は、普及促進を目的に20年間は高い価格で買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」を導入し、民間企業の参入を促した。一方、今年改正された再生可能エネルギーに関する特別措置法で、固定価格買い取り制度が2022年に終了し、市場価格に連動する制度(FIP)に移行することが決まったことから、参入企業にとって太陽光発電ビジネスは大きな転換点を迎えている。

 こうしたことを背景にJAAMは初めて、太陽光発電のインフラをアセット(資産)として、どう管理していくかについてのセミナーを開催した。講師は今年3月にJAAMが事業者向けに策定した「太陽光発電アセットマネジメントガイドライン(案)」に携わった3人が務め、太陽光発電事業関係者ら約30人が参加した。

セミナー風景・提供写真

壊れた場合の廃棄も視野に

 セミナーの冒頭、日本格付研究所(東京都中央区)の特別戦略企画推進部長で、制度に詳しい本多史裕氏が「太陽光発電を取り巻く制度・環境の変化について」講演した。本多氏は、市場連動型制度が導入されることによる従来事業との違いを説明。また「10年に一度という災害が毎年のように起きている」と述べ、自然災害によりパネルなどの施設が損傷したり、機器としての寿命を迎えたりして設備を廃棄することを想定した対策を盛り込んだことなどが法改正のポイントだと解説した。本多氏は「発電設備はいわば電気製品なので、いつ壊れるか分からない」として、設備更新などの計画を立てておくことの重要性を強調した。

リスクと採算性

 タカラレーベン・インフラ投資法人の資産運用会社タカラアセットマネジメント(東京都千代田区)の髙橋衛社長は、同社が全国32カ所の太陽光発電事業に投資している経験を元に、ビジネスとしての将来性、注意点について説明した。

 髙橋氏は、設備の使用年数が長くなると、さまざまなリスクが増えることから「きちんとリスクマネジメント(管理)することが重要だ」と指摘した。リスクを低減させるのか回避させるのか、許容するのかといった項目に分け、採算計画を立てることを勧めた。事業の採算性については、収入と支出の最適性を評価し「地震保険などは高額なので、入る必要があるかどうかといったリスクに見合った支出の判断をするべきだ」と述べた。

 また、固定価格制度が終了し、市場連動型の制度が導入されると「自分で電気の売り先を探さなければならないなど、事業の難易度が格段に上がる」と注意点を指摘した。

豪雨時の備えが重要

 最後に太陽光発電のO&M(オペレーション=運用・メンテナンス=保守)を手掛けるCO2O(シーオーツーオー、東京都港区)の森本晃弘・事業本部長が登壇。
発電事業のリスクについて写真で実例を示しながら自然災害の対処方法について解説した。

 森本氏は、ゴルフ場の跡地を太陽光発電に事業転換する場合は「ゴルフ上の芝生と発電施設としての排水に違いがある」と指摘。豪雨時に備え「排水計画の見直しが必要になる」と説明した。リスクには、日常的に発生する小規模なものから、すぐに対応が必要な致命的なものなど四つのパターンがあるとして「アセット(資産)への影響を考えながらリスクをコントロールすることが大事だ」と強調した。

SDGsでも注目

 講演後、参加者からは「コロナ禍での事業継続」や「策定したガイドラインの活用」についてなど積極的な質問が寄せられた。
太陽光発電は、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の中でも「クリーンなエネルギーの推進」として注目されている。一般住宅の屋根などに設置されている住宅用太陽光発電についても、災害時に役立つとの観点から重要度が増している。太陽光発電の「主力電源」としての役割は、一層拡大することになりそうだ。

 JAAMは、今年11月4日に同じテーマで第2弾セミナーを開催する。参加申し込みはJAAMホームページから