カルチャー

空き家がお荷物から“お宝”になる時代? 都内に広がるユニークな空き家活用例

リノベーションで空き家から生まれ変わった飲食店連動型コンセプトシェアハウス「ビー・パーク」
リノベーションで空き家から生まれ変わった飲食店連動型コンセプトシェアハウス「ビー・パーク」

 空き家というと「限界集落」のような人口減の著しい地方の問題と思いがちだが、首都東京も無関係ではない。国の調査によると、東京都の空き家率は10・6%。全国平均の13・6%に比べれば低いが、空き家の“数”を多い方から順に自治体別に並べると、東京都の世田谷区と大田区が全国1、2位を占める。空き家の絶対数が多い住宅飽和状態の東京は、ある意味、空き家問題の“最前線”ともいえる。

 空き家数1位の世田谷区は、2018年に「世田谷区空き家等対策計画」を策定するなど空き家対策に本腰を入れている。民間サイドからも、先進的な空き家対策の取り組みが区内にちらほら出始めている。

緑豊かなダイニングバーに生まれ変わった空き家の1階
緑豊かなダイニングバーに生まれ変わった空き家の1階

 中でも都内ならではの空き家対策として面白い試みの一つが、およそ20年間“眠っていた”築60年以上の3階建て物件(世田谷区祖師谷)を飲食店連動型コンセプトシェアハウス「ビー・パーク」としてよみがえらせた民間の取り組み。都内を中心に空き家活用事業を展開するジェクトワン(東京)と遊休不動産の再生・プロデュース事業を手掛けるスペリアル(東京)が手を握り“再生”した。

シェアハウスの個室スペース
シェアハウスの個室スペース

 10月末にオープンしたこのビー・パークの顔となる1階は、「緑豊かな街の公園」をイメージした植栽が天井や壁を飾るダイニングバーとして再出発。社員寮や住居として使われていた過去の生活空間の名残を一新し、夢を持った若者を引き付けるにふさわしい創造的滋味にあふれた雰囲気を作り出した。

 2、3階は、若きクリエーターがお互いの才能をぶつけ合い、新たな創造力を生み出す“磁場”としても期待できるシェアハウスとして確保した。

 手塚治虫や寺田ヒロオ、藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄A)、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら天才漫画家が若手時代をともに過ごした奇跡のアパート「トキワ荘」のような、若き才能を育む場をイメージしている。

明るい雰囲気のシェアハウス共用スペース
明るい雰囲気のシェアハウス共用スペース

 クリエイターの成長は地域活性化の力にもなりうる。1階のダイニングバーでは、クリエイターの作品を販売したり、地域住民とクリエイターが触れ合うイベント会場としての利用も今後予定する。
 ビー・パークの試みは、空き家が地域の“お荷物”から活性化の切り札たる“お宝”に切り替わる時代の一里塚となるかもしれない。